8.California Girls(Stereo Remix)
おおおおついに出た、このアルバム最大の（がいくつもあるのが本作のすごいところ）目玉、世界のポップス史上に残る名曲、スタンダード中のスタンダードと言える曲のステレオ・ミックス。ファンはこれをどのくらい夢見たことか！

さて、ひと通り興奮したところで、この肝心のミックス状態について。う〜ん、大元のマスターテープは8トラックぐらいでしょうか？昔あった疑似ステレオなんかじゃなくて、本物のステレオです。さすがに演奏パートは1トラックずつという状態らしくて定位がはっきりし過ぎてるけども、何しろ「おお、ここはこうなっていたのか！」と今まで聴こえなかった部分までもが聴こえるようになりました。コーラスパートには少なくとも2トラック以上が使われていて、その力強さに感動します。やはりポイントはあの有名なオープニングと、エンディングの押し寄せるようなコーラスでしょう。かなりの音圧で迫ってきます。これは今のリミックス技術もあるでしょうが、マスターがかなりいい状態で録音され、保管されていたということでもあります。

ブライアンの創り出すサウンドは、コーラスハーモニーのみならずバックにも恐るべき繊細かつ緻密なアレンジが施されていることに驚きます。特に60年代のミックスはラジオで流されるのを意識してヴォーカルをより前面に出す傾向があり、そのために素晴らしいアレンジが小さくミックスされています。それゆえ細部までが堪能できるこのステレオ・ミックス版には単にステレオである以上の価値があるような気がします。
(古殿竜夫／99.4.29)