11.Heroes & Villains（live 1972）
ブライアンが勘で繋ぎ合わせたような複雑な構成のスタジオ版を、見事ステージで再現しています。ライブではいつもアラン・ジャーディンが歌っていたようです。72年の録音。

73年発表の公式ライブアルバム「IN CONCERT」にも同時期の演奏が収録されていますが、僕は今回のテイクを聴いて驚きました。こちらの方がはるかにいいのです！原曲の良さを完全に活かしている演奏とコーラスワークのクオリティや、テンポ（「IN CONCERT」のはちょっと速い。これが不満だった！）も実に良い感じで安定しています。とにかくアレンジのまとめ方がうまい。さすが当時これを収録した公式ライブ盤の発売予定があった（シングル・アルバムだったが結局リリースされず「IN CONCERT」が2枚組で発売された）だけに、素晴しい出来です。

当時のライブは大変評価が高かったそうですが、これを聴いてあらためて納得。この時期スタジオ・アルバムでは「Carl And The Passions」「Holland」と不調が続いていましたが、一方ではライブに活路を見い出そうとしていたため、演奏にとても切れ味のいい熱気が感じられます。これは当時短期間ながら正式メンバーだったブロンディ・チャップリンとリッキー・ファターの功績大です（特にリッキーのドラムはなんてタイトなんだ・・・）。

またドキュメンタリービデオ「An American Band」にも、この曲のライブ風景が収録されています。(古殿竜夫／98.11.12)