10.Heroes & Villains（demo）
ご存知の通りこの曲には既発・未発問わず、いくつかの曲を継ぎ合わせて作ったヴァージョンが多数存在します。だから各々の展開がまったく異なるものが多く、ブライアンがいかに試行錯誤していたかがよく解ります。

結局67年当時正式に発表されたのは「Smily Smile」収録のテイクですが、このデモ録音は、今や伝説の未完アルバム「Smile」の作曲風景を垣間見ることができます。ブライアンが曲の構成を共作者である、あのヴァン・ダイク・パークスに歌って聴かせている様子が生々しい。

やっぱりこの曲は当初から小組曲みたいな構成にしようという意図があったようです。途中「Smile」のダミージャケット（制作当時キャピトルがブライアンにプレッシャーをかけるためにジャッケットだけを印刷したもの）にもクレジットされていた曲「I'm In Great Shape」それからブートレグではおなじみの「Barnyard」と続きます。どちらもホンの一節ですが、僕が歌詞を聴いたのはこれが初めて。しかも66年当時のブライアンの弾き語りですよ、あなた。ファンはこの事実だけでもう興奮。後半動物の鳴き声をヴァン・ダイクが演じている。おおっ、と思ったらあっけなくフェードアウト。もっと聴かせてください。(古殿竜夫／98.11.12)