フルタツ / BRAINBOX
【5年連続5回目】→01
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web/Pinky
Groove!
■ザ・フー
/ マイ・ジェネレイション(デラックス・エディション)
(ユニバーサル UICY-7120/1)
ついにCD化!しかも世界初ステレオリミックス、数多くの曲を追加収録したボーナス・ディスク付きの2枚組というボリューム。こいつぁ待った甲斐があるってもんだぜ!
と思いきや発売前にしてベーシスト、ジョン・エントウィッスルの突然の訃報。あまりのショックにせっかくのこのCDも冷静に聴くことができませんでした(涙)。
しかも亡くなったのが6月28日だったのに、2ヶ月も後に雑誌を見るまでそのこと知らなかった自分にも腹が立つ。でもいつもそうです。カール・ウィルソンの時は代表殿から聞いてはじめて知ってびっくりしたし、ホントにファンかっての。
で、いつもならこの場でダラダラと「おれ的曲解説」とか「ザ・フー考」「日本での評価の低さにフザケんな」を繰り広げるはずなんですが、あまりに意気消沈したので今回はダメです。
今は自分に計り知れない影響を与えたジョン、そしてキース・ムーンの冥福をあらためて祈るのみであります。
■ケヴィン・エアーズ
/ 不思議のヒット・パレード
(東芝EMI TOCP65968)
ボクは今年のロック関係では、ことごとく空振ってたような気がします。ザ・フーのジョン・エントウィッスルの訃報もリアルタイムの6月じゃなくて8月過ぎてから知るというマヌケぶりでした。そしてこのケヴィン・エアーズ。何と10年ぶりの来日を果たしてたのです。知ってれば当然のごとく公演にも行ったものを、知った時は後の祭り。
どうもロックから毎年縁遠くなってしまってるような自分に、バチが当たったかのような気分です。
しかも公演日の3月2日(土)、ボクは何してたか!?って、ここの代表殿と仕事してましたよっ。いやもちろん代表殿はぜんぜん悪くないんですよ。そんな大事な日とも知らず、軽く仕事を引き受けてしまった自分のバカさ加減に涙が出るだけで。
このヒトは自分のロック人生の中でも、特に重要な人物です。ブライアン・ウィルソンよりはるか以前に、コンサート観てはじめて泣いちゃったのはこのヒトだし、傑作・駄作含めた作品全部が好きです。そう、単なる盲目的ファンです。
今年になってようやくCD化(アーンド涙の来日記念盤)となったこの作品、なぜ今までこれだけが出てなかったのか、まさに不思議のヒットパレード(くだらね〜)。
シングルやアルバム未収録曲を集めたものです。しかもボーナス・トラック1曲追加でさらに価値ある1枚になりました。こりゃ世界中のコレクターが黙っちゃいませんぜ!
■ミシェル・ルグラン
/ ミシェル・ルグランの世界
(BMG BVCM-37302)
言うまでもなくフランス音楽界の巨匠です。どうもご本人の生誕70周年記念でのCD化というコトらしいです。
今こういうのを持ち出すと、折からのラウンジ・ブームに乗った安易なヤツだと思われそうだけど、そうじゃなくてボクの場合は単なるオーケストラ好きですね。
何というか、打ち込みとかサンプリングが当たり前になったきょうびの音楽を考えてみると、最高に贅沢な音という気がしてくるのです。このリラックスした揺らぎ感、そして大きなスケール感。
いかに最近の自分がカチンカチンの音ばかり聴いていたかがよく分かります。時代の流れとはいえ、ですけどね。そんな意味でもこのCDは清涼剤になってくれました。
■スペシャルズ
/ モア・スペシャルズ
(東芝EMI TOCP-66042)
近年スカの評価がどうなってるのかは分かりませんが、なぜか今年になってスペシャルズの全3作品がリマスター再発となりました。あんまり画質は良くないけど、ビデオCDフォーマットのクリップ付きエクストラ仕様というのもあって、全部リプレースしちゃいました。
で、個人的に一番思い入れが強いのがこの作品です。デビュー作がジャケット通りモノトーンなスカのイメージだったのに対し、このアルバムではとてもカラフルな音楽性を発揮してます。
しかしリーダー、ジェリー・ダマーズの生真面目な性格が災いしたのか、この直後に主要メンバーの相次ぐ脱退により活動が頓挫、次のアルバムまで数年を要したのはとても不幸なことでした。その作品「In
The Studio」は密度の高いサウンドの良いアルバムですが、件の事情があってか全体の空気が重いんですよ。
ついでに言うとデビュー作はいかにも「スカ」というジャケット・イメージと「エルヴィス・コステロ・プロデュース!」のせいで、一番話題になりやすい作品です。でもボクには音がこじんまりとして硬すぎるし、テンポがちょっとかったるいんですよ。バンドが持つ熱気をスタジオ作品に納めきれなかったという気がどうしてもしてしまう。
やはり開放的で勢いがあり、バラエティに富んだこのアルバムが一番です。決してスカにとどまることのない豊かさを醸しているこの作品、今聴いても大好きなことに変わりがありませんでした。
■tom
robinson / sector27 COMPLETE
(CASTAWAY NORTHWEST CNWVP012CD)
このCD化をおれは待ってた!
セクター27は80年当時人気だったトム・ロビンソンが結成したグループです。TRB解散直後だっただけに期待も大きかったんですが、結局はあまりブレイクすることなく、バンド自体も短命に終わってしまいました。
タイトルの「COMPLETE」が示すがごとく、たぶん現存する音源をできる限り集めた内容かと思われます。唯一のアルバム全10曲(Trk.2〜11)の他に、未発表9曲が収められてます。
まずはアルバムについてですが、ホント、すごく待ってました。切迫した雰囲気の曲と軽快な曲の対比が絶妙で良いのです。適度に歪んだギターとコーラスのかかったベース、前面に出ているドラムの混じりっ気のないロック作品という佇まいが素敵です。当時の「ニューウェイヴ」の空気がタップリと感じられるサウンド。誰が何と言おうと大好きな作品です。
驚いたのは未発表曲の楽曲自体は紛れもなくセクター27なんですが、アルバムのそれとはぜんぜん空気が違うんですよ。こうまで変わるものなのか。そこで思い出されるのがプロデューサー、スティーヴ・リリィホワイトの存在です。当時XTCの「ドラムス・アンド・ワイアーズ」で、革新的と言われたドラム・サウンドを作り出した直後でしたが、今さらながらそのプロデュースの凄さを思い知らされました。
いずれにしてもこれで「アナログ盤落とし自主制作CD」から解放される〜。今年はいろいろとショックに打ちひしがれたボクも、最後にこの盤のおかげでちょっと復活することができたのでした。
【総括】
今年は「作品とおれ」という、私的なスタンスで書かせていただきました。本編でも触れてますが、個人的な音楽との関わりの中でいろいろあったもので、そんな心境だったんですよ。嬉しいのやら悲しいのやら、自分的には複雑な1年だった気がしてます。
(2002.12.20.記)