潤一郎
【2年連続2回目】→01
|
mail/yoshidaj@tma.co.jp
web/THANK
YOU MUSIC
こんにちは。
2年目2回目の登場となります。
お世話になります。
マーガレットズロースというバンドの応援委員長という肩書きを持っておりますが、それとは関係なく彼らの「こんぺいとう」は素晴らしい作品でしたよ。
ズロースの事だけで2002年が総括できそうなくらいに追っかけて参りましたので、ここはそれ以外で昨年印象的だったことを綴らせてもらいます。
■V.A.
/ 文藝ミュージシャンの勃興
(ポリスター PSCR6088)
シュガーフィールズ原さんと田辺マモルさんが音頭をとったオムニバス。
”ズロース以外”と書いておきながら、このCDにもズロースの曲が収録されてますね。ご勘弁ください。
そういえば昨年はオムニバスだトリビュートだってのが多い年でしたね。小さいのから大きいのまで色々あった気がします。
実際世間的に多かったのか分かりませんが気になったので自分が買ったオムニバス盤を数えてみました。
全部で15枚。
平均すると必ず毎月1枚は何かしら買ってた計算になるんですから、やはり多かったのでしょう。多かったから何だい、ってことですが。
ちなみに便宜上「はっぴいえんどかばあぼっくす」も”一枚”と数えておりますが、あれは何て呼べばよいのでしょうか?ボックスセットと気安く呼ぶのも気が引けます。
さて「文藝」です。
全部で17曲収録されてます。こういったオムニバスというものはだいたい全てを通して聴かないです。何組かのお気に入り目当てで聴く事が多いです。
そこで「文藝」の凄いところですが、一枚通して気持ち良く聴けるということなのです。これはなかなか珍しい。
確かにシュガーフィールズ、田辺マモルを始め、ズロース、チョコパなど馴染みの人が多い。17組の内、16組はライブを見た事があります。身内びいきなとこもあるでしょう。
しかしですよ、正直に申せば何組か、さして好きでないバンドも収録されてますよ、これが。それでも飛ばさずに一枚丸々聴けてしまう。
監修力か選曲センスかそれとも単に僕が面倒臭がりなだけなのか分かりませんが、とにかく聴いてて飽きない。そんな訳で文句なし、今年の五枚にランクインでございます。
ちなみに昨年の一曲はこれに収録されている田辺マモル”君はかんぺきさ”でしょうか。こんな歌聴いた事ないです。
■カーネーション
/ VENTURE BUSINESS Vol.01
(エイベックス RRCD85326)
カーネーションが5人組から3人組になった。今年のニュースの中でもかなり驚いたことのひとつです。
初期の頃から多少のメンバーチェンジはあったものの、僕が聴くようになってから10年余り、不動の5人であったわけです。やや感傷的にもなります。
で、レコード会社も移籍で心機一転。怒涛のシングルリリースとライブ攻撃と相成りました。
これは現在”Vol.2”まで発売されているシングルの一発目。シングルという体裁ですが中身はデモやライブ、実験的な曲とややマニア向け。ですから限定発売。
男臭さ300%増なんです。
ライブも3人しかいないので音がスカスカでガツガツ。あらくれている。でもファンが喜びそうなポイントもきちんと狙っている。メロメロに濡れてしまいますよ。
直枝さんはもう40歳を過ぎてるはずですが、この初期衝動のみでもテクニックや経験のみでもないパワーって一体なんでしょうか?自分自身が40を迎えた時のひとつの指針とさせて頂きます。
しかし、内容が内容なんであれですが最近の”限定”や”初回盤”の多さにはちょいと力が抜けてしまいますよねえ。
■THE VELVET CRUSH
/ SOFT SOUNDS
(ACTION MUSIK AMCD106)
ひっそり発売されていた新作。音も地味だが内容も地味。レコ屋で見かけた時は何かの編集盤か海賊盤かと思った。
しかし気が付くとかなりのヘビーローテーションに。何処にひっかかるのか分からないんだけれど止まらない。
彼らを始めとするこの辺りのバンドを僕の中では既に終わってた。ギターポップ?昔はよく聴いたけどねえって感じで。暫く気にもしてなかった。
終わってなかったんですね。まだ終わってなかったのか。
最近は気がつくと「昔話」ばかりしてる自分がいる。「あの頃」を懐かしむのは確かに楽しいんだけど、その後自己嫌悪になる。
この既に何周も走り終えたであろう彼らの音楽は非常に静かで懐かしい匂いのするものだが、僕が惹かれるのは背後に見え隠れする激しい苛立ちの音。
本来、別名義のユニットで”静かな作品集”をテーマに発売する予定だったらしい。それがどういった経緯なのかは知らないが、バンド名を冠しての発売となった。
ライブを見たい。苛立ちと静寂の向こうに見えるだろう新作を早く聴いてみたい。
■いましろたかし/釣れんボーイ
(エンターブレイン)
音楽でなく漫画です。非常にロックな作品なので選びました。
素晴らしい作品ですが敢えて30歳以上の男子にしか薦めません。なんかねえ、「感動的」というよりは、かなり「ガックリ来る」感じです。
悲しいのに涙も出ない、そんな気分の漫画です。
■フジロックフェスティバル2002
今年も行ってきました。
2度目の体験でしたが、昨年に比べると若干不自由さを感じる場面も多くありました。でも、だいたいオーケーでしょう。
必死にライブを見ることよりも、如何に楽に聴くか、そんな楽しみ方。演奏を近くで見ることよりも何処かで流れる音楽に耳を傾けることの至福。
あれこれ思い出多い今年のフジロックですが、一番といったらこれでしょう!
パティ・スミスと握手!!!!!
朝ホテルを出て歩いていると向こうから普通に歩いてくる彼女が見えるではないですか?!僕が大学時代に初めて「音楽に関する文章」を書いたのが彼女と矢野顕子について。
昨年どころか今までの人生の中でもかなり上位にランクインする出来事です。
英語とは決して呼べないようで英語で挨拶し、「昨日のライブは最高でした!!今夜も頑張って下さい!!」みたいなことを喋った。
通じたかどうかも分からないけど、確かにパティさんは「サンキュー」と頷き、そして手を差し出すとがっちりと力強く握り返してくれた。
32歳男子。目頭が熱くなりました。よよよ、よかったあ。。。
【総括】
以上でございますが、ここで番外。
昨年チョコレートパフェは4枚の限定CD-Rを販売しました。春、夏、秋(これだけズロースとのスプリット)、冬で計4枚。
会場売りのみですが、それも特定のライブの日だけの販売。普段チョコパのライブに頻繁に通ってる人でも、たまたまその発売ライブに行けなければ買うことができない。
運良く4枚聴きましたが、素晴らしい出来です。「なんでこれをもっと売らないのか?」と疑問でした。勿体無いじゃない。
しかし、”素晴らしい内容”なのにわざわざこういった販売方法をとったのは彼らにそれなりの考えあってのことだろうと。つい最近買った”冬盤”を聴きながら思いました。
きっと自信があるんでしょう。ええ、そうでしょう。もっと凄い、もっと素晴らしい作品を作るんだという決意の表れがこれらの限定CD-Rだと。
今年のチョコパ、期待大です。
と他人に大きな期待を抱きつつ、僕も今年はもっとしっかりしなければいけませんなあと年始らしく思い立っております。
その糧となるような良い音楽に今年もたくさん出会えますように。
(2003.1.4.記)