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2003.2.6up
【執筆者一覧】
田森赤貝
 (素人漫画描き)
 出場/2年連続2回目
ダミ
 (JLC/Dummy Records)
 出場/2年連続2回目
クリテツ
 (ブラン)
 出場/3年連続4回目
潤一郎
 出場/2年連続2回目
カミジョウリエ
 (スピードライダー/mimi)
 出場/初
nanzan
 (Joe Lane and the Crew)
 出場/2年連続2回目
Daisei Inoue
 (Minor Records)
 出場/6年連続6回目
めぐろゆか
 (わがままな月)
 出場/初

プノンペン竹内
 (ルケーチ)
 出場/4年ぶり2回目

フルタツ
 (BRAINBOX)
 出場/5年連続5回目
アダチカツノリ
 (遁レコ/ブラン)
 出場/6年連続6回目

【過去の私の5枚】
私の5枚2001(20名)
私の5枚2000(15名)
99年私の5枚(16名)
98年私の5枚(13名)
97年私の5枚(10名)

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田森赤貝 / 素人漫画描き
【2年連続2回目01 |
mail/
akagai4946@yahoo.co.jp
web/赤玉アワー


■eastern youth / 世界は割れ響く耳鳴りのようだ
(KICM1061)

「足を一歩、踏み出す毎に、世界は割れ響く耳鳴りのようだ。」というフレーズで歌い出されるシングル2曲。

日々はあたかもそれが当たり前の様な顔をしてつらつらと流れていて、その強制力に何時の間にか流されてしまっている自分がいる。そんな時は例えば映画とか旅行とか、何らかの形で日常から離れたものにしかココロが動かなくなっていたりするのだけれども、己の見方ひとつで日常に埋もれていた光景が色鮮やかに見る事が出来る、むしろ、大切な事は常に日常の中に息づいているものだからこそ、有りの侭の世界から目を逸らしてはいけない。

eastern youthを聞く度、いつもそれを再確認させられる気がします。安易に楽しい事ばかりではなくて、負の感情も全部含めて、深呼吸する様に全てを噛み締めてやろう、目に見え感じた事を記してやろうと思った時、背中を押してくれる2曲。


■NUMBER GIRL / NUM HEAVYMETALLIC
(TOCT-24920)

何とも形容し難い、純粋な「雑種」ロック。南無解散。
例えば神話等に語られる空想上の動物ってのがいて、その殆どは実在する動物を組み合わせたものに過ぎなかったりするのだけれども、ところがその風体としての完成美みたいなものがある訳で。それも、ユニコーンやペガサスの様な”洗練美”ではなくて、寧ろキメラの様な、「うわーライオンと竜の顔ついててコウモリの翼で飛んで尻尾がヘビで、であの横に付いてるヤギの顔って何だよ!(笑)」みたいな滅茶苦茶さと、粗雑に強調された鋭さ。「不仕合わせ」の持つ強烈なエネルギーを完成させた、見事な雑種だと思います。そんな解りにくい喩えを、敢えてしてみました。


■54-71 / enclolox
(BVCS-24006)

これまた形容し難い、滅茶苦茶な純粋雑種。
先述のナンバーガールが「不仕合わせ」を極めた雑種で、聴いている時のある種の違和感が素晴らしいのに対して、こちらは洗練美を感じるというか、ルーツは感じつつも完成されたサウンド。よく言われる様にヒップホップやらオルタナやら水と油の様な音楽を一緒くたにしているにも拘わらず、不思議と違和感を感じないのは、もうバンドの技量なのでしょう恐らく。非常にストイックな事でも知られる彼等、このアルバムではアンプ類全て同じセッティング、エフェクター無し、ドラムはハット・スネア・バスドラのみで全曲という、極限まで無駄を削ぎ落とした作りをしてるんですが、それが逆にバンド自体の素晴らしさを引き出してて、何というか漫画で言うとスクリーントーンなんて本当要らないや、みたいな事を思うんですが、また解りにくい喩えですね、ハイ。


■The Rentals / Seven More Minutes
(WPCR10212)

元ウィーザーのベーシスト・マット=シャープのソロワークの、99年発表の2枚目にして現在最新作。をやっと購入しました、という話。

非常に単純明快な、人懐っこいメロディーはファーストと変わらず、自身の呟きをそのまま歌った様な歌詞も健在。例えば、いつしかココロが離れてしまったウィーザーのメンバーとの再会や、本当はお互い凄く好きなのに拘束する関係になれず「あなたは好きな事してていいのよ、何処へ行ってもいいのよ」と言う彼女に何も言えない自分の事、「バルセロナで一目惚れしてしまった女の子にまた会いたい、会って隣で飲んでてくれればそれでいいんだけど」などというダメ人間丸出しの呟き。これにウィーザー直系の泣きメロと、レイチェル嬢の素晴らしいコーラスワーク、おどけているかの様に不器用なムーグが重なれば涙腺を刺激しない訳は無く、漫画を云々しておる際相当聴き込んだ1枚です。個人的にはマット脱退以降のウィーザーにはどうも「まあいいんだけど、以前の様に来ない」感がありまして、それはどうもこの男に心底惚れているから、なのかもしれません。


■bloodthirsty butchers / △+3
(MVCH-19005)

例えば街を一人歩いている時の、喜怒哀楽のどれにも振り分けがたい漠然とした空しい感情っていうのは、音に喩えれば決して綺麗な音色ではない気がします。歪んでいて、そしてゆっくりと鳴り続ける、湿った様な乾いた様な音が一番近い感じがするのです、少なくとも私には。その漠然とした感情を見事表現しているのがブッチャーズの音で、轟音かつ激情でありながら、不思議と静かな印象さえ抱きます。轟音といえばただ元気で暴れるだけというイメージが、誤解であり貧相な偏見であるかを思い知らせ、或いは表現手段としてそうとしか用いないカスの様なエセエモロックを一蹴する唯一無二のバンド。何度泣いた事でしょう、本当。新譜『荒野ニオケルbloodtirstybuntchers』ではさらに新境地を切り開いており、こちらも今年の聴き込み盤になりそうです。


【総括】
どうも私はそう沢山の音楽を必要としない、らしいです。
と書くと語弊がありまして、”良い”と思う音楽ってのは実際いっぱいある訳で、自分は偏見の塊の様な人間ながらそうした壁を少しでもなくしたいと思ってるし、常に様々な音楽から刺激を受けたいと思ってる訳ですが。

その一方で、漫画を描いたり街を歩いたり電車に乗ったり、いわゆる日常生活を埋める際に、それはもう掏り切れる程同じ音楽を聴きまくる傾向があって、これは多分人よりも強い様です。それは極端に言えば自分にとってその時必要な音で、その理由は判らないけど、とにかく聴かずにはいられなくなる感じなんですが、そういう訳で聴きまくったのがこの5枚です。今年もこうした音楽達に出会える事を。

雑文乱文失礼致しました。

(2003.2.6.記)

 


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