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2003.2.6up
【執筆者一覧】
田森赤貝
 (素人漫画描き)
 出場/2年連続2回目
ダミ
 (JLC/Dummy Records)
 出場/2年連続2回目
クリテツ
 (ブラン)
 出場/3年連続4回目
潤一郎
 出場/2年連続2回目
カミジョウリエ
 (スピードライダー/mimi)
 出場/初
nanzan
 (Joe Lane and the Crew)
 出場/2年連続2回目
Daisei Inoue
 (Minor Records)
 出場/6年連続6回目
めぐろゆか
 (わがままな月)
 出場/初

プノンペン竹内
 (ルケーチ)
 出場/4年ぶり2回目

フルタツ
 (BRAINBOX)
 出場/5年連続5回目
アダチカツノリ
 (遁レコ/ブラン)
 出場/6年連続6回目

【過去の私の5枚】
私の5枚2001(20名)
私の5枚2000(15名)
99年私の5枚(16名)
98年私の5枚(13名)
97年私の5枚(10名)

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六弦斎改めプノンペン竹内/ルケーチ
【4年ぶり2回目98
mail/rokugen@big.or.jp
web/ホームラン商会

 前の時は'98年、4年ぶりの参戦で御座居ます。其の間にも勿論ツェーデーは色々と買ってはおりましたが、どうにもこうにも何か評を書くと云う事の大変さを感じてしまって、毎年「私5」開催の御報せは戴いては、よしいっちょ考えるかと思うともう次の年の年末になって居る始末。

 其れも此れも「抱負」や「反省」とは縁遠い人格のせいなのですが、来年春には結婚するので、少しは責任感有る大人になろうと思って、今年は参加致します。


■ガース・ハドソン / ガースの世界
(YDCD-0070)

大体なんだ此の邦題は。「ガープの世界」の駄洒落ではないか。

 「ガープ」と云えばビートルズだかの「64歳になったら〜♪」とか云う歌詞の曲が主題歌に用いられていたのが思い出されますが、俺にとって此の曲は「ひらけ!ポンキッキ」の、イモ虫が穴に落っこちて、蝶となって飛び出てくるコーナーのBGMの印象が強いのであります。

 そして此のガースの初ソロ作品のイメージはどちらかと云うとガープではなく、ポンキッキなのであります。

 「64歳になったら〜♪」と来れば「ガープの世界」を思い出す様に、多くの人がガースの初ソロと来ればザ・バンド風、亦はザ・バンドの名物だったアグレッシブなオルガンソロの世界を想起したに違いないでしょう。

 そんなんだったら俺は絶対買わないですヨ。今更ジローですヨ。

 で、俺はガープでなくてポンキッキを思い出す様な人間であるので、ガースの初ソロと聴いて、あぁきっと楽理に詳しくてムード音楽とか好きで(第三の男のカバーは彼のアイデアであると思ってます)、ジャズも好きだが新主流派とかよりはスタンダードだよなーとか云う人が必然的に作るであろう音を期待したのです。

 そしたら、本当にそんな曲ばっかりだったので、バンザイしてしまいました。

 1曲目から全てが詰まってますね。スットコドッコイなテーマはオーネット・コールマンのハーモロディック理論に通ずる物がありますし、ピアノの手触りはキース・ジャレットの「生と死の幻想」、全体の浮遊感はグレイトフル・デッドもかくやと云った按配。

 とか思ってたら、デッドの「ダーク・スター」もやってます。んー、エクセレント。

 全体を俯瞰して見れば、下ネタを云わないザッパみたいな感じですね。

 昔、王様と云う人が「高速道路の星」と云う曲で、「こいつぁパワーもあるし、タイヤも太いし、全部ある!」と歌ってましたが、此の「全部ある」と云う所が俺はとても好きで、そうかそうか、全部あるか、と頭をなでたくなるんですが。

 ガースの此の作品はまさに、「全部ある」と云った按配で御座居まして、俺の此処数年の趣味を誰かスパイがリサーチしてガースに伝えたんじゃないかとさえ思えましたね。恐いですね。

 で、世に云う所のザ・バンドの要素は全然無いので、大変痛快で御座居ます。ざまぁみろって感じです。


■ロジャー・ウォーターズ 来日公演

 ロジャーさんのソロ作品からも何曲か演奏しましたが、期待通りのピンク・フロイド大会。でもなつメロリサイタルってよりかは、「自分が心血注いで作って来たものを大事に大事にしてる」と云う感じがひしひしと伝わって参りました。

ショーとしても大変素晴らしい内容で、長い長い旅をした気分にさせて呉れました。有難う、ロジャー。

ヨメと二人で見に行ったんですけど、まだ結婚は決まってなくて、此れの後になんかそう云う事になったので、想い出深い出来事でもあります。


■カレン・ドールトン / In My Own Time

 セカンドアルバム。10年近く待ったCD化。手持ちのカセットテープはもう聴きまくって、伸び伸びで既に聴けなくなって久しいのでした。やったーやったー。

 でも10年前に初めて友人に教えて貰った時は、「ダルトン」と云われてました。其れが、ヴィヴィッドかなんかから1枚目が再発されたら、表記が「ドールトン」になっており、んー確かに英語で「al」と続けばオーって発音するけどな、気分が出ないなーとか思ってました。ミュージック・マガジンの陰謀でしょうか。

 そうなると、あまりパッとしなかった4代目ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンさんも、本当はティモシー・ドールトンさんなんですかね。

 こう云う所にこだわる人、ミューマガ編集部に限らず、普通のリスナーでもおりますな。そう云う人にビリー・コブハムの話をすると、「ビリー・コバーンじゃい!」と鬼の首を取ったかの様に教えて呉れます。有り難いですネ。

 そんなもんね、知ってんですヨこっちだって。でも気分じゃないからコブハムって云ってんですよ。だいたいコバーンじゃ、なんかドラムも、「こば〜ん」って、迫力無いじゃないですか。あのドラムはもう、「コブ!ハム!」って按配こそ相応しい。

 で、コバーンの人と同じ人の話なんですが、ケニー・ドーハムも、あれはケニー・ダラームなんだヨ!と教えて呉れまして、其れは流石に知らなかったので、へぇ〜、そんなイスラミーな響きであったのかと少し驚いたもんでした。

 確かに、「どうハム!」って云うと、なんか「ぼく、おなかがすいたハム〜」とか、語尾になんでも「ハム」をつけて喋る可愛いハムスターのキャラクターが「どうだ!」とえばってるみたいですが、「だら〜む」と云うと、あのジェントルなラッパの音色のイメージにより相応しい気もします。しないか。まぁいい。

 時は流れて今年、ドーハムの「カフェ・ボヘミア完全版」を買いまして。いやもう此れがパッとしないんだけど素晴らしく味のある名盤!特に「ニューヨークの秋」、綺麗な綺麗な演奏です。

 因みに此の曲の原題は「オータム・イン・ニューヨーク」なんですが、ルケ宮沢さんが「大田区イン・ニューヨーク」とか云ってて、一体何処の話なんだよ!とかまぁそんなネタもありまして、本当、どうでも良いですね。

 「おお寒、イン入浴」ってのもあった。そんな風呂ねぇよ。

 で、「カフェボヘミア」ですが、MCが入ってるんですよ。メンバー紹介。そしたらですね、ちゃんと「ドーハム」って発音してんですよ!勿論ネイティブ発音なので「ドハン」とかそんな感じで、ドもドとダの間の音だけどド寄り、って具合ですが、「ダラーム」とは全く聞こえません。

 全く、何処から仕入れた情報だか知りませんが、困ったもんです。やっぱりハムスターってブームなんですねー。

 其れはさておき、念願のカレンのセカンドアルバム、わーいわーいと「PLAY」ボタンを押しました。

 ジー、プチ、プチ。←針の音。

 ブートじゃんか!

 でも勿論内容は、文句ないよう〜。


■エルメート・パスコアル / 神々の祭り
(PHCA-4233)

ザッパの「ロキシー・アンド・エルスウェア」のインスト曲から、小沢昭一的こころ的こころをちょっと抜いて、ミルトン・ナシメントに影響されまくった頃のパット・メセニー的こころを混ぜたら、其処へラサーンとモンクが降臨しちゃいました。

 ってのは、俺のweb日記からの引用で御座居ます。最近書いたばかりで、新しく文章考えるの面倒なので、此れにて終了。

 楽しいゾー。


■ブルー・ミッチェル / ブルーズ・ムーズ
(VICJ-2226)

何か体がムズムズしてきそうなタイトルがイカすぜ!

 あまり高く評価されない地味〜な人ですが、どれ位地味かと云うと、「ブルー・ミッチェル」ときちんとナカグロまで入れて検索かけても、此の人よりジョニ・ミッチェルの「ブルー」の方がが多くひっかかる位、地味〜なんで御座居ます。オヨヨヨ。

 だがしかし、地味でも、いや地味だからこそ、彼は素晴らしいのです。小難しいフレーズは一切無し、宴会芸みたいなハイノート・ヒッティングなぞも一切無し、小粋なバップフレーズを軽やかに聴かせて呉れます。

 マイルスのタバコに火を付ける係だった(って此れじゃパシリみたいですが)ウィントン・ケリーのピアノも、いやーもう、本人のリーダー作よりも評価高いそうです、此れ。「アイル・クローズ・マイ・アイズ」のイントロなんて、あぁぁぁ聴きてぇ(只今仕事中)。

 こう云うのは本当に飽きませんね。其れが何よりです。判り易くってナチュラル、んーエヴァーグリーン。

 音も優しくまろやかで、かと云ってドーハム程はひっこんでなく、何だかとても良い人そうです。良い人、そう決めました。

 其れを思うと、やっぱりリー・モーガンの音とかって、女好きで暴れん坊の不良って感じがしますね。

 って何だか決闘シーンとかで、直前まで元気一杯だったのに「ふははは、バカめ、先程の水に、毒を盛っておいたのじゃ〜」「むむっ、そ、そう云われれば体が・・・」みたいな話ですけどね。

 何時も思うんですけど、リー・モーガンさんって中国人、10億人も居れば一人は居そうな気がしませんか?しませんか、そうですか。


【総括】
あぁ、そうか、ドーハムの「カフェボヘミア」を入れれば良かったんじゃないか、と書いてる内に思ったりして。

 はっぴいえんどかばあぼっくすは、ルケ初音源って事で入れようかとも思ったけど、皆取り上げるだろうと思いまして、敢えて外しました。

 本当は今年、特に後半はザッパばっかりたくさんたくさん買ったんですけど、俺も32歳、すごーく恥ずかしいのでやめました。今年一番リピートしたレコードは「ロキシー・アンド・エルスウェア」である事をカミングアウト致します。

 で、'98年の俺の「私5」を読み返したんですけど、「歌がよけりゃいいんだ」とか云ってますね。恥ずかしいですね。要するに、己の作曲能力の無さの言い訳だったんじゃないでしょうか。

 ルケーチに加入して曲を作るようになってから、生まれて初めて「作曲」と云う作業をした気がします。

 其れまでは俺が歌メロと詞を作って、ギターで適当にコードじゃかじゃか弾いて、「こんな曲です、あとはみんなで宜敷く」って感じでせーので曲全体を作るって按配だったんですが。

 ルケは人数多くて、初心者も少なくないので、まずは自分の頭にある音を楽譜にまとめねばならんのですね。そうなると必然的に、好んで聴くレコードも、アレンジの妙を楽しむ物が多くなったりしました。

 そんなこんなで、音楽が流れた時の全体感を掴む耳が(取り敢えず耳だけは)出来てきたかなーとか自分でも思ったりして。まだまだですか。そうですか。

 すると不思議な事に、至極単純なハードロックとかも、エルメート・パスコアルと何ら変わる事無く耳に心地良いんですねー。「作曲」と云うか、其の物ズバリ「音楽」って興味で聴けば、全部同じ地平に立ち上がって来るんです。シン・リジーなんかもチョクチョク聴きました。

 だから音楽性無茶苦茶に思えるザッパの諸作品も、別に何の違和感も無く、ランピー・グレイヴィーからジャズ・フロム・ヘルまで、すーっと聴けました。どれも当たり前の姿としか思えないんですね。

 今まで木を見て森を見てなかった蒙が拓けたってんでしょうか、更に音楽が好きになりましたね。いやぁ良かった良かった。此れもルケーチのおかげで御座居ます。

(2002.12.20.記)

 


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