田森赤貝/DM研OB・素人漫画描き
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恥めまして。田森赤貝と申します。
例の音楽サークルDM出身で、アダチ氏の遠き後輩でありジリツベッツ筒Y氏の同期です。現在はフリーターという名の限りなくプー、しがない素人漫画描きであります。恐縮ながら寄稿させていただきます。
さて題目の「私5」ですが、ここ数年ほぼ新規開拓しておりません。それは経済的理由に加えて、元々私は1枚をず〜っと聴いてる性質なので、これはこれで割と良い事だった気もします。
■eastern youth/感受性応答セヨ
私は東京は郊外、西八王子という町(街というよりは町)に数年住まっておりますが、何か要り用の際は少々の不満はありながらもやはり八王子に出向く訳です。その際、自転車で行くが最も多いのです。これといって急ぐ訳でもなく、寄り道も一応出来たりする、そんな自転車という乗り物が好きで、などと書くとカッコついてしまっておこがましいですが。一歩一歩、ペタルを漕ぐという行為に何かを感じたり感じなかったりして。いかん、ぶっちゃいけないなあ。結局ただキコキコペダル漕いでるだけだっつうの。
そんな訳で中央線沿いに自転車を走らす時、私は必ずヘッドフォンで耳を塞いでおる訳ですが、やはり一番良く聴いていたのがこのイースタンユース。家で聴いても良いですが、移動しながら聴くとさらに良し。ライヴで聴ければなおよろし、ですが。このバンドはここ数年、生活に染み渡る程に敬愛しておりますので、やはりうまく言葉で表現できないですが、とにかく聴きまくり、ペダル漕ぎまくりの日々だった訳であります。日々一喜一憂。眼鏡が曇るのも仕方ないですわ。わはははは。
なお、余談ではありますがイースタンのライヴ、いつもチケットが安い(場所に関係なく2500円くらい)んですよ。何かああいう値段って諸事情絡んで一概には言えないんでしょうが、何やら意思を感じる部分であります。確かに、1ライヴで5000円とか、高い。単純に。
追記。彼らの盟友でありますbloodthirsty butchersも本年度かなり良い音源を発表、さらに私の眼鏡を涙で曇らせたのでした。でも昔の方がちょっと好きだったりしたので、次点。また新しい出会いとしてはイースタンと対バンした54−71、イースタン吉野氏の盟友にしてDMBQ増子兄弟バンドの怒髪天。この2つもかなり衝撃だったのですが残念ながらMDで数曲しか聴いてないので次点。でもこれから掘り下げてゆく予定であります。そう、これから。
■エレファントカシマシ/奴隷天国
全くの私事で恐縮ですが、去年の夏から秋にかけて、当時していたバイトの影響で私の心は凍り付いておりました。そんな中、町田康を読み、エレカシを聴くと、学生の頃は解らなかった更なる感動が。などと書くと薄っぺらですが、単に自分の置かれた状況から再度ハマってしまったという単純な話なのです。ただのボヤキです。ごめんなさい。あっ今、私は誰に対して謝ったんでしょうか。まあ、そういう日常に潜むうっかり忘れがちな疑問を呼び起こさせてくれたのがこの1枚であります。『生活』でもなく、『東京の空』でもなく、怒りに任せてひたすらがなるだけのこのアルバムに、今となって強く心を揺さぶられたのでした。或いは、深夜番組で他人の映画をボロクソ言って意気舞いながら、自らを追い込んでいってしまう井筒監督を見て、ロックンロールを感じるのでした。トラー。
■シオザワヨウイチ/the guitar+me
大学時代の同期にして、お隣のサークルFNS出身、現在はユニット名を“the guitar+me”と変えて活動中(ですよね?)の彼のファーストCD(―R)。シールだらけのガットギターと歌のみの楽曲を、全て一発録り、オーバーダビング無しという”生“に拘ったスタイルで収めた本作は、知り合いだからとかそういうものを超えて、我が家の深夜の物思いの時を多いに潤ってくれたのでした。精巧に作られた曲と、韻を踏みまくる英詞。シオザワ氏にはもうやられっぱなしです。
ところが100枚程度しか作られなかった当作品、私は買い逃しまして、実は筒Y氏からの借り物です。ごめんなさい。返します。
■石野卓球/KARAOKEJACK
乾貴美子。彼女についてそれまで然程興味も持っておりませんでした。世間一般的にもニュースステーションを真中瞳に譲って以来、これといって目立つ仕事をしている訳でもないし。しかし。
私は深夜ラジオが好きで執筆(と称して机に座り何もしないという無の境地)の合間によく聴いておるのですが、特に欠かさず聴くのがLFR木曜ナイナイのオールナイトニッポンと、TBS月曜の伊集院光の「深夜のバカ力」。その後者、伊集院といえば、私の地元時代の精神的根源とも言える電気グルーヴのオールナイトにて、頻繁に飛び入りゲストとして参加していたいわば電気系の一人。ある夜、乾嬢はそのゲストとして招かれ、出演したのでした。
彼女がゲストに招かれた訳とは、単なる聴視率稼ぎでもなく、写真集なんぞのプロモーションでもありませんでした。その番組のコーナーに「妄想グランプリ」なる、“クソが流れなくても平気そうなグランプリ”とかいったテーマでハマりそうな芸能人を募集、一番面白かった人に勝手にグランプリをあげるという毒吐きコーナーがありまして、なぜか乾嬢が毎回上位ランキングされるという現象が起きていた為、遂にゲストとして招いてしまおうという事になった訳です。
さて、ここで伊集院について記憶を呼び起こすと、その昔電気のオールナイトにて、ある時“伊集院対電気のファミスタ対決”というのがありました。これは、負けた方は陰の毛を剃られ、それを乳児の産毛の要領で筆にするという罰ゲームつきで、当ラジオならではのチン企画だった訳です。結果伊集院は敗戦、晴れてアンダーヘアーを剃られたのですが、その筆の筆下ろしを公開イベントにてやろうという事で話は続きました。その流れの中で、その筆下ろしは一般リスナーの女性から選んだ通称“チン毛ギャル”にやってもらおうという事になりました。そして一人の女子高生が選ばれ、チン毛筆はそのうら若き御手により筆下ろしされた訳です。
話は現在に戻ります。あらぬ理由で呼びつけた乾嬢にどう絡もうか様子見をしている伊集院をよそに、彼女の口から思わぬ言葉が。そう、先の電気のオールナイトの“チン毛ギャル”こそ、現在の乾貴美子その人だったのです。当時彼女は全くの素人、関西に住む女子高生で、いちリスナーとしてその栄誉を勝ち取ったのでした。「あなたのルックスがあれば俺だったらそうは生きない道だけど何で?当時何聴いてたの?」との伊集院の当然の質問にも、「電気と、伊集院さんのOHデカと、あと浅草キッド」と答える乾嬢。さらに、「今まで公にはこういう部分を隠してたんですよ、でもよく笑顔が笑ってないって言われました」と発言。私は“彼女は本物だ!”と思いました。
それを受けて伊集院も意気投合、その場で乾嬢に“フリーマーケットで一見センスのいい服や小物を並べている(しかも渡辺満理奈の様に自分のキャラを意識したいやらしい出品ではなく自然に)中に、何故か巨大な男根の木彫りが置いてあってしかも平然として売ってそうなグランプリ”を贈呈。笑顔で受賞する乾嬢は、さらに「それはやっぱりさらに大きいのを買ったからこれはもういらないっていうニュアンスですよね」と乗るという器の大きさを披露したのです。
そんなこんなで一気に私の中で株を上げた乾嬢は、今日もブラウン管の何処かで嘘の笑顔を振り撒いておられる事でしょう。そして乾嬢を見る度に、自分の長い電気暦を思い出す訳です。電気も「キンタマが右に寄っちゃった〜」と歌っていたのが、今やマイク・ヴァン・ダイクやジェフ・ミルズと肩を並べるテクノアーティスト。乾貴美子も、チン毛ギャルからタレントへ。私はといえば、う〜ん。まあ、そりゃ仕方ないか。
という訳で、かれこれ中学時代から敬愛する電気も、遂に長期活動休止へ。セルフトリビュート盤やら、「メロン牧場」単行本化やら、瀧の「屁ックライナ」刊行やら、瀧×漫$画太郎先生の漫画『樹海少年ZOO1』やら、何かと話題に事欠かない1年ではありましたが、何はともあれ卓球氏のこの作品は普通に聴きまくったのでした。ナッシングスゴナチェンジ。
■ソウルフラワー・ユニオン/SCREWBALL COMEDY
私などには語りおおせる言葉などありません。人生って素晴らしい。とモーニング娘。も歌う昨今(ちょっと古いけど)。
【総括】
相変わらずな私の「私5」。他には、秋頃から、自分の音楽経歴を辿るというマイブーム(死語)が起きたりして、ブルーハーツや筋肉少女帯、初期電気などで独り盛り上がったりしておりました。また他には、学生時代に筒Y氏からもらったヒップゲローのテープ音源をMDに落として聴きまくったりもしました。まあ漫画描いてる時のお供としてやはり音楽は外せないなあ、なんて当たり前の事を改めて思ったりしている訳です。軋め、ペン。
という感じの私の日々でしたが、音楽ではありませんが今年はもうコレに全部もってかれた!というものがありまして、それはこの拙作であります。
『マスタベ』/田森赤貝(自主制作漫画)
手前味噌で申し訳ございません。さらに、こうした場で告知してしまう様で恐縮であります。しかしながら、在学時から現在に至るまでの私の漫画作品全てが、良かったものも箸にも棒にも掛からないカスカス作も悲喜交々全てが、ここに詰まっております。卒業してからの2年、この度やっと完成に漕ぎつけました。印刷粗悪、オール手作業のちっぽけなミニコミであります。ですが、反応どうあれ、願わくば多くの人の目に触れてほしいと願う親心であります。無料ですので、読んでやってもいいと言ってくださる方は
akagai4946@yahoo.co.jp までご一報を。
さて、さらに。
『コンニチワベッツ』/ジリツベッツ
『フユノマドリ』/kodoado
身内であるのは事実ですが、それを差し置いても聴きまくったのもまた事実。明日はどっちだ。
最後に、こうした有意義な場を提供していただいたアダチ氏に、この場を借りて感謝申し上げます。(2002.2.4)