2002.5.19.up
ヒラタカオリ
 (シノワ)
厚沢耕治
 (シノワ)
田森赤貝
 (DM研OB・素人漫画描き)
松井繁彦
 (iM2)
潤一郎31000
 (なし)
サカテヨウスケ
 (DM研OB)
永井LEE
 (ソーイングマシーン)
恋淵和也
 (DM研OB)
須原敬三
 (ギューンカセット)
ブランクリハラ
 (ブラン)
石垣窓
 (フリーボ)
ヤギシノワ
 (シノワ)
nanzan
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■ラヴ/フォーエヴァー・チェンジズ(デラックス・エディション)
(ワーナー/AMCY-6255)

今まで何度かショップで見かけて「ちょっと聴いてみようかな」と思いつつ、結局買わないでいました。でも今度ばかりは・・・ホントにボクが間違ってました。ゴメンナサイゴメンナサイ。

だってぇ、このジャケット見たらいかにも「アノ時代のサイケ」とか想像しちゃうでしょ?ボクは今さら「サイケ」にはあんまし興味ないんです。一部のモノを除けば、あの手は時代を感じさせる下品なリバーブが全体にタップリとかかっているだけで、音楽自体が単なる「ブルース・ロック」だったりするんだもん。

今年このボーナス・トラック入りのリイシュー盤が出たことで、こりゃさすがに潮時かという感じで買いました。やっぱ「デラックス・エディション」って言われちゃね、もう観念するしかないよね。しかしその一方で「つまんなかったら売っとばせばいいんだし」なんて考えてたこの愚かさ。バカなお母さんを許しておくれ。今考えてみると、ボクはただ騙されて買う理由が欲しかっただけなのかも知れない。ところが結果は騙されるどころか「今までこれを聴かなかったなんて、おれのバカバカ!」となってしまいました。

これは一過性のサイケなんかじゃなくて、時代を超えて生き続ける傑作でした。当時ドラッグ問題で不安定だったグループをサポートするために導入したブラスやストリングスとか、ハル・ブレインら腕利きのセッション・ミュージシャンが参加したことが、結果としてこの作品を素晴らしいものにしています。まさにケガの功名ですな。特にラテンぽさすら感じさせるブラスの使い方は、この手の音楽には大変珍しく、作品自体を余計に(いい意味で)異色なものとし、孤高の存在としています。

普通は全編通してアコースティック・ギターなんて入れちゃうと、何だかタラタラした冗長な作品になってしまう場合が多いのですが、不思議なことにまったくそんなトコがないんです。むしろ妙な説得力さえあったりする。これだって他のメンバーがロクに演奏できなかった苦肉の策(弾き語りの上に件のブラス・ストリングスなどをオーバーダブしていった)だったんだろうに、なんでこんなにいいんだ?そうやって偶発的に生まれたものにせよ、これからも後世に残る素晴らしい作品である事実が揺らぐことはありません。 う〜んまだまだあるんですな、ロックの名盤て。


■Steve Harley & Cockney Rebel/Love's A Prima Donna
(BGO/BGOCD527)

やっとCD化。ボクの知る限りたぶんはじめてなんじゃないかなあ。だって今までけっこう気にして待ってたのに、お店じゃ見なかったし。でもこれでようやくアナログ盤から自前で落とした音の悪いCDから解放されるぜ。

ボクはとにかくこのヒトのファンだから、作品全部が好きです。その中でもとりわけこの「Love's A Prima Donnna」はコックニー・レベル名義としての最後のスタジオ盤であると共に、これからも聴き続ける傑作でもあります。個人的には一番CD化を望んでいた作品かも知れません。

オープニングからメドレーで繋がっている数曲はとにかく圧巻。意味不明な16分のギター・リフがことごとく曲の隙間を埋めていく「GI Valentine」やちょっとしたミュージカルを連想させる「Finaly A Card Came」など、ホントにいいです。でもこのヒトの真骨頂はやはりタイトル曲に代表されるポップ・ナンバーでしょう。しかも間奏で突然挿入される合唱風のコーラスがタダ者ではないことを感じさせます。さらにそこから「Sidetrack II」のような仰々しいオーケストラ曲に続いていく様は、見事としか言えません。それとハーレーの友人であり、先日亡くなったジョージ・ハリスン作の「ヒア・カムズ・ザ・サン」のカバーは、ファンキーなアレンジが面白いです。

なお今回このアルバムと2枚組で出たもう1枚「A Closer Look」はコックニー時代の代表曲を集めたベスト盤のCD化。なんでこれとカップリングなんだろ?まあいいか。

今聴くと、このヒトの演劇的な歌唱もけっこうヘタだな、と思ったりするんですが、そんなことはいいの。だって大好きなスティーブ・ハーレーなんだから。


■セイラー/ハイダウェイ
(エピック/ESCA7855)

うひゃ〜ボクはこの作品知らなかった。こんなのあったんだ。当然中身を聴くのもはじめて。当時のセールス的な理由からか、本作は不運にも各国で発売が見送られてしまったという“幻”のアルバムだということです。

このグループも早すぎたんでしょうなあ。その音楽の素晴らしさとは裏腹に、語られることが少ないように思います。でも今回、本作と同時に名作アルバム「トラブル」がはじめての国内盤で陽の目を見たりして、多少なりとも再評価の兆しがあるのかな、なんて期待したりもして。

考えてみれば無理もない。グラム・ロックのブームが終わろうとしていたような70年代ですよ。その頃にこのサウンドでやってたって、その良さが理解されなかったのはよく判ります。やっぱり真価が問えるのはある程度聴き手も成熟してる今、なんて気がしてしまうのもまあヘンな話ですけどね。

時としてヨーロッパ的でもあり、また無国籍風でもある変化に富んだ楽曲といい、とっても完成度の高いサウンド。一部にせよきっと影響を受けてるヒトは少なくないんじゃないかと想像します。まだ歪んだギターがロックの花形楽器だった時代に、この何ともポップでクリアな響きは異色だったことでしょう。ピアノやギターのアコースティックな楽器にシンセベースを組み合わせるなど、今では当たり前になってしまったけど、電子楽器が未熟だった当時によく音にしたもんです。カッチリした楽曲構成とか説得力あるメロディ・フレーズの数々、コーラスのハーモニーも素晴らしい。やっぱりちゃんと評価されてないのはもったいないグループです。


■ラリー・ペイジ・オーケストラ/ラウンジ・ウィズ・ラリー
(MSI/MSIF3797)

ラリー・ペイジといえば、あのキンクスのプロデューサーとして有名なヒトです。そしてキンクスの曲を勝手にこの手のアルバムにして発表して、レイ・デイヴィスを怒らせたことでも知られています(今回のCD化でその問題のキンクス・アルバムも同時発売されました)。

本作の内容はコンピレーションで、もう数十年前のムード・ミュージック。まず当時のプロデューサーが何でこんなアルバム出してたのかが不思議です。たぶん今では考えられないような状況だったんでしょうね。解説に「80年代だったら中古レコード屋の『その他』に入れられてただろう」なんて書かれてましたが、まさにその通りで。それが今になって却ってもてはやさるようになったりして、分からんもんですな世の中って。

ボクはもともとが単にオーケストラもの好きだから買いました。特に昔のってアレンジがヘンに折り目正しく、キッチリしてるトコが優等生みたいでいいんですよ。

タートルズの「エレノア」なんて、オリジナルのヘタな演奏よりもずっと安定してて曲の良さがハッキリ伝わってくるし、ドアーズの「ハートに火をつけて」もクラシック・スタンダード的な味を堪能できます。アニマルズの「朝日のあたる家」などは出だしのファズ・ギターがとっても妖しげ。どれもムード・ミュージックとして説得力ありすぎ。これらおなじみの曲メロがテナーサックスなんかで演奏されると、キミは一体何者なんだ?って気分になってきます。しかも中ジャケにはおねーちゃんのヌード。こりゃ何じゃ、どういうつもりじゃ?

実は同じようなアレンジ・インスト・アルバムとして、ゲイリー・アッシャーの「シンフォニック・ブライアン・ウィルソン」とどっちにしようかと迷いました。でも圧倒的なコンセプトのいい加減さと、気の抜けきったリラックス・ムードの本作が、最後にボクのハートをゲットしたのです。

しっかしラリーさん、こういうロックのヒット曲と「テイク・ファイブ」を同じアルバムに入れるのはどうかと思うよ。そんなチグハグさ加減も妙なおかしさがあったりして、すっかりお気に入りです。


■カリフォルニア/パッションフルーツ
(TYO/YDCD0046)

去年も書いたような気がするけど、今年も出ましたカート・ベッチャーものが。シリーズでセカンド・アルバムが発売されたサジタリアス同様、ゲイリー・アッシャーとのコラボレーションです。ところがこのアルバムも75〜77年にかけて録音されていながら、 他の作品と同じように今まで陽の目を見なかったのです。つくづく不運なヒトです。どうも最後までゲイリーさんや周囲とはうまくいかなかったようで・・・。あまりの気の毒さに、というワケじゃないけどボクはこのヒトと作品について書かずにはいられないです。

この「カリフォルニア」は今聴いてみると、当時のディスコ・ナンバーを彷佛とさせる「ミュージック・ミュージック・ミュージック」とかスタンダードな「アイコ・アイコ」とかには時代を感じさせる面もあります。70年代後半のちょっと中途半端なアメリカン・ポップスという雰囲気も漂っているのだけど、やっぱり他と違うのはカート・ベッチャーのサウンド・プロダクションが光ってる点でしょう。アレンジとコーラスワークにはさすがにこのヒトの仕事という感じで、緻密な仕上がりになってます。

そして「アイ・ラヴ・ユー・ソー」の爽やかなハーモニーには心打たれたりもするんですが、この中での聞き物は何と言ってもブルース・ジョンストン作の「ブラン・ニュー・オールド・フレンズ」でしょう。素晴らしい出来です。前半のテーマが後に続くコーラスに収束していく時の展開がとってもいいのです。これに限らずだけど、当時発売されずに正当な評価が得られなかったことがあらためて気の毒でなりません。

というワケで今年もこのヒトで終わるのね・・・


【総括】
いつものことだけど、ラインナップを見てみると旧作のCD化・再発ばっかしですなあ。しょうがないっす、好きなの選ぶと自然にこうなっちゃうんだから。でもメインストリートのCD化が一段落したかに見えるきょうこのごろ、やっと自分の好きなモンの番が回ってきたか、って感じも。そのおかげで今年はオールド作品でまとめてみました的な統一感はあるかな。ん?それもいつものことか。

話変わって、代表殿はブランの活動でがんばってますなあ。今年はCDまで出てスゲエ!って感じでしたね。ボクもこっそりと聴かせてもらいました。いろんな思い入れから考えれば、これをランキングしてもよかったぐらい。ただボクと代表殿は公私ともにただならぬ関係になってしまってるので(謎)、単なる身内のひいき目みたいに見られちゃあまりに失礼だなと思って。でもホント「やわらかな夢」はよかったですよ。活動のフィールドは違っちゃうけど、聴くたびにボクもしっかりやっていかなきゃと思ったものです。今年もお世話になりました。また来年もよろしくお願いします。(2001.12.12)

 

 


(C)TONSEi RECORDS