2002.5.19.up
ヒラタカオリ
 (シノワ)
厚沢耕治
 (シノワ)
田森赤貝
 (DM研OB・素人漫画描き)
松井繁彦
 (iM2)
潤一郎31000
 (なし)
サカテヨウスケ
 (DM研OB)
永井LEE
 (ソーイングマシーン)
恋淵和也
 (DM研OB)
須原敬三
 (ギューンカセット)
ブランクリハラ
 (ブラン)
石垣窓
 (フリーボ)
ヤギシノワ
 (シノワ)
nanzan
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筒Y
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めぐブラ
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アダチカツノリ/遁レコ、ブラン
mail/info@tonreco.com
web/The Worls of TONSEi RECORDS


Led Zeppelin / First Attack Of The Rising Of The Sun
(EMPRESS VALLEY EVSD55/6/57/58)

しばらく休んでおったブートトレードでございますが、お誘い受ければついついで、気が付いたら結構な数やらせていただいた今年でございました。

今年の重点テーマは私のブート道の原点でもありますZEP。
話には聞いとりましたが、しばらくチェックを怠ってたら、すごいアイテムがゾロゾロでてたんですな。ZEPブートと云えばわが国が世界に誇るレーベル、タランチュラだと思い込んでたら、数年前の摘発以降、復活→リリースは続けているものの既に過去のレーベルみたいなことになっているのには驚きました。

優良アイテムの情報収集もZEPはブート研究サイトがFAB4、BBどころでなく山ほどあるわけで(そう云えば女流ZEPコレクターの大家、沼田育美女史から「今度日本のインディーロックシーンを取材するつもりなので、協力してください」何てお話いただいたのも今年でした。「意外なところで接点が」と感激したのを覚えております)、聴くべきものを確実にゲットという形が出来たのは有り難い限りです。2年前の寝ても醒めてもCD焼いてる気になるアイテムは手当たり次第のトレード中毒なんてなことはもう出来ません。

さてさてそんなこんなでさておいて、今年の収穫物で何より感慨深かったのは、このZEP初来日公演音源の極上オーディエンス録音4枚組であります。
「ZEPの日本公演に良質音源少なし。しかし欲しくなるのが性なのね」と勝手に思い込んでおったのですが、一体誰がこんなソースを長年ひとり占めしておったのかと思うと悔しくて仕方がない。この臨場感、そして圧倒される演奏、とにもかくにも全てのZEPファンに胸を張ってお勧めできる1枚であります。

また楽しいのがオープニングのMCを務める「元祖ロックDJ」糸居五郎先生のお声を完全収録ってこと。私自身、氏の声を聞いたのはこれが初めてでありました。五郎さん、ちゃんと「レッドゼッペリン」って云ってます。いつドイツ語発音と云われる「ツェッペリン」が標準表記になったんでしょうね。だっていまだに覚えてますもの「ベストヒットUSA」で小林克也が「レッドゼッペリン」と発した時の違和感。英語の読みではこれが正しいんですものね。

いやいやそれにしても。
なかなか舞台の袖に現れないメンバーにやきもきしながら、必死に場を繋げようとする五郎ちゃん。「日本のロックファン、レッドゼッペリン大好き。レッドゼッペリン、日本のロックファン大好き」なんてわけのわからんこと云ってたり、「日本のロックファンがお行儀がいいのは先日の後楽園でのグランド・ファンク・レイルロードで証明済みですよね」なんて「ZEPよりGFRの方が来日早かったんか」「GFRの後楽園ってあの大雨の伝説の!?」と歴史的検証に役立ったりそれはそれは鳥肌モノ。

いやいやいやいや、ところでところで、この日の音源が高音質で目の前に突きつけられるインパクトとしては個人的にもっと特別な意味がございまして。。。

10代前半の私にZEPを教えてくれた恩師というか当時かぶれていたバンドがございまして。。。
今も活躍されていらっしゃる冠詞に「ぢ」の付く「あ」で始まるベース、アコギ、エレキギターの3人組なんですがね。。。。いやいや東北の片田舎に在住の身でございました私の10代の生ロック体験ってSHOW-YAと聖奇魔Uとアルフィーぐらいでごさいまして。。。あ、云っちゃった。

そんなアルフィーの伝記漫画が今は無き週刊キングで連載をしておりました。雑誌廃刊とともに中断してしまったのですが、吉岡なんとかさんが書いていた「ドリームジェネレーション」ってヤツです。この中でこのZEPの初来日武道館公演に高校生の高見沢が出かけて行って衝撃を受けるってくだりがあるのです。オープニングで「移民の歌」そして「ハートブレイカー」。。。今にしても考えてみても、このシーンの描写はホント見事しか云いようがなくて、この時まだ耳にしていないバンドの音が、パワーが伝わって来て、それまで自分が聴いてきた音楽と全く比較にならないすごいもの、未知のものがここにあるということを感じたのです。

いまだにその絵が脳裏に焼きついています。私はそれを見て「レッドツェッペリンってすごいバンドみたいだな。聴くしかない」と思ったわけであります。だって高見沢が衝撃を受けたバンドですぜ。聴かないわけにはいきません。

そんなあの漫画のシーンが十数年たった今、こんな高音質でホントに目の前にあって耳にすることができるというのはたまらないものがございました。

何といっても71年のツアー。ZEPの活きのいいってことったらありゃしない。
五郎ちゃんも「今日は1部とか2部とかありませんからね。ぶっ続けのステージです」とMCされてますが、フルスロットルの2時間以上であります。75年のツアー以降は貫禄と鋼のようなサウンドを聴かせながらも少々ヨレが感じられるZEPでございますが、いやいやこの時期にそんなこたぁございません。これでもかこれでもかと混沌と怒涛の演奏であります。洗練なんて言葉は微塵も出てまいりません。いやぁこの何だか良くわからんけどとにかく圧倒ってな感覚がたまらないわけでございます。

中盤、リリースを数週間後に控えた4枚目から「天国への階段」を披露し、初めてこの曲を聴いた日本の観客から何とも云えない喝采が自然に起こる生々しさ(高見沢も漫画では涙を流しておりしまた)はどんなドキュメンタリーにもかなわない感動を与えてくれます。

そんな特別な思いを抱きながら、今年の1枚にはどうしてもこいつをという感じとあいなったわけでございます。

もう1枚ついでに云わせていただけば、96年のPAGE & PLANTの来日武道館公演モノのこれまた極上オーディエンス録音「Celebrating Fifth And Sixth Days」(THE SYMBOLS)も忘れられない1枚です。特別な思いを抱きながら私も涙ウルウルで2階席で観戦させていただいた96年2月12日公演が収録。音質の上では他の日程で優れたアイテムがたくさんあるのかもしれませんが、何てったって自分もその場に居たけわですもの。ペイジの一挙手一投足にいちいち盛り上がってる感覚はあの場にいた方でなければわかりません。この音源聴いてて不自然に客が盛り上がるのはそういうことであります。

いやぁ、しかし。今年こうして間25年隔てた特別な音源を高音質で楽しめたというのはなにものにも変え難いものがございました。


■George Harrison / All Things Must Pass
(APPLE AP-9016C)

ビートルの死をリアルタイムできちんと迎えたのは今回が初めてで(ジョンの時はまだ小学校低学年で、ニュース映像を漠然と覚えているに過ぎないのです)、嫌だ嫌だと思いつつ、いや別にジョージと友達でも何でもないし、彼が残した音楽はいつだってこうして聴けるし、なんてことを思いつつもすごい空虚感に襲われたのは事実。

何度も書いたけれど、11月中旬にプチジョージブームが起こっていて、アルバム聴きまくったり、噂のWinMXでプロモを落して「やっぱ"Fab"のプロモは最高だよなぁ」なんてニコニコしておりました。そんな時期に知人から「ジョージ余命1週間らしいよ」何て話を耳にして、でも「どうせまたガセネタだろ」とと受け流しつつ、そんなタイミングがタイミングだけに「虫の知らせじゃあるまいな」と嫌ぁな気分を引きずっておりました。そしてジョージブームの熱ももそんな話を聞いたらすぅーっと引いてしまいました。

そんなこんなで11/30を迎えました。
別に追悼の言葉を述べるつもりはないし、死んだからって改めて熱心にアルバムを聴き返すなんてこともしたくないです。別にジョージと友達でも何でもないし、彼が残した音楽はいつだってこうして聴けるし。

All Things Must Pass
こんなこと既に30年前に云いきっちゃってるジョージに脱帽であります。
そして「アンソロジー」でビートルズを総括して、そして今年はこのアルバムに新たな息を吹き込んで、ジョージらしく静かに自分の音楽人生に落とし前をつけて、全くもってかっこいい男であります。


■The Beach Boys / Hawthorne,CA
(TOCP-65729/30)

BBものとしては何と云ってもこの結成40周年記念レア音源集でございました。
全くもって不覚な話なのですが、事前の発売アナウンスを全くチェックしてませんで、発売日に店頭で出くわしながら、既発音源の寄せ集めベストと何故か勝手に思い込んでしまって購入を一度見送ってしまいました。盛り上がっているようないないようなよくわかりらんけれど、「BBブームの便乗盤だろ」位に思ってしまいました。

いやいやいやいやところがどっこい。
フタを開けてみたらブートで聴いたことのある音源もちらほらながら、さすがはオフィシャルリリース。デモ音源にセッション音源、アカペラバージョンにステレオバージョン、メンバーのコメントなどを挟みつつ、レア音源でBBの歴史をたどるアンソロジー。レア音源集でありながら、まるで一本のドキュメンタリー映画を見ているようなファンにはたまらない2枚組でありました。決して「BBはじめの1枚」とはなりえないものの、マニア心をくすぐるツボを押さえたリリースに脱帽であります。

1枚目のデビューシングル「Surfin'」から「Pet Sounds」前夜への高まりはBBが最もキラキラしていて、楽しくて仕方がない。「Fun Fun Fun」のインスト、「Dance Dance Dance」「Salt Lake City」のステレオバージョンではグルーヴィンなロックサウンドに腰も砕ける。かっこいいったらありゃしない。これで踊るなってのが無理な話。ライブバージョンの「Shut Down」もタイトな演奏ともちろん鉄壁のコーラスワークが素晴らしい。やっぱいいよなぁ、この時期のBB。

2枚目。
「Pet Sounds」期はBOXがあるからか敢えてすっ飛ばしてあって、いきなり「SMILE」期。
たまらないのが「Good Vibration」セッションのステレオバージョンから突入のGVライブリハーサルバージョン。ポップ曼陀羅のようなこの曲が、ここでは必要最小限にまで削ぎ落とされたサウンドで、まるで今にも立ち消えそうなろうそくの炎のよう。そこにカールとマイクのメインヴォーカルが乗り、神々しくも思えてくる。とどめは「英雄と悪漢」のシングルバージョンの待ってましたのス・テ・レ・オ。この辺りからSMILE中毒再発の様相を呈してきて、とても冷静には聴けなくなってくる。「英雄と悪漢」が2Dからいきなり3Dとなって迫り来るようで、うまく表現が出来ないのだけれど、改めてこの時期ブライアンが作ろうとしていた音世界が正気の沙汰ではなかったことを再認識して空恐ろしくすらなってきた。この2曲はとてつもない中毒性があり。

さらにだめ押しで「Vegetables」。そして!「You're With Me Tonight」、こいつはすごいなぁ、何度聴いてもすぅっと吸いこまれるような、どうかしそうな感覚に陥ります。続いてもデニスの名曲「Forever」のアカペラなどたまらんネタが目白押し。お腹いっぱいになるアイテムでござました。

さぁ年明け2月はブライアン公演。
やめられない止まらないのBB生活。来年もどんな形で私を奮い立たせてくれるか楽しみであります。


■The Smiths / Meat Is Murder
(VICP-2003)

最近のMDプレーヤーってのはすごいもんですな。
今年数年使い倒したMDウォークマンがヘタって、新調をしたのだけれど、MDLPとかいって74分MDに2倍とか4倍の時間録音できたりするんですな。CD-RにMP3ぶち込んだものが聴けるCDウォークマンだとかかなり欲しくなったのだけれど、いやいやまだまだMDも捨てたもんじゃございません。

多少の音質劣化があるということだけれど、どうせ屋外で聴くものだからそんなもの気になりません。MDLPで1枚のMDに74分×4で296分入るってことは、大体のバンドは全アルバムをぶち込んで楽しむことも出来るわけで、結構それが楽しかったりしました。

そんなことをしてたバンドのひとつがスミスでございまして、シングルのコンピ含めほとんどのアルバムを1枚のMDにぶち込んで今年後半かなり聴きまくってました。

今年「ミュージックマガジン」で「80年代を総括する」ってな特集があって、個人的には当時のMTVもののレコ評を中心にかなり楽しめたのだけれど、座談会か何かで「80年代はスミスに乗れたかどうかが分岐点だ」みたいな論調に「ここでスミス持ちだすのはちょっと反則だよなぁ」とちょっと興ざめしたりもしたりして、いやいやスミスも80年代のバンドだからいいんだけれど、まぁ単にMTVネタだけで終わらないってとこが「ミュージックマガジン」らしいっちゃあらしいということで。

何が云いたいかよくわからなくなってきたけれども、そんなことをきっかけに「そう云えば最近スミス聴いてなかったなぁ」とCD引っ張り出してきたのが運の尽きでそれから今日まで止まらなくなってしまったわけでございます。

私自身、スミスは90年代に入ってからの後追いで聴いていたクチなのだけれど、「ジョニー・マーみたいになりたい」「スミスこそ自分の理想とするバンド像だ」なんてかぶれまくっていたわけでございます。マーのアルペジオを基調としたギタースタイル、云いたいことを云ったらとっとと終わる潔い3分間ポップの世界、そしてモリッシーの声、とにかくとにかくうっとりなのです。かと思えば「ランク」で聴けるライブにおけるメンバー間の緊迫した関係も垣間見れる、楽曲を破壊せんとも感じられるエキセントリックさにもついつい夢中。とにもかくにも大好きなバンドでございました。

改めて聴いてもそこから感じる魅力に衰えはなくて、今回エントリーとなった次第。 ずっと自分はなんと云ってもスミスは初期の1stとシングルやラジオライブ等のコンピ「Hatfull of Follow」だと思っていたのだけれど、いやいや実は何だかんだ云って一番ポップなアルバムはこいつだったと今回気付かされた「Meet Is Murder」を挙げさせていただきます。タイトル曲の長くて陰鬱な雰囲気がこのアルバムに対するイメージになっていた感があったのですが、いやいや大好きな曲たくさんでなんともかんとも。気持ち良いです。


■ブラン/やわらかな夢
(ギューンカセット CD95-19)

手前味噌で恐縮です。とにもかくにも今年一番耳にしたのはこいつであります。とにもかくにもこのバンドで6年なり7年積み重ねてきたことがこうしてパッケージ化され、世にばらまかれるということをうれしく思います。

遁生時代に出来た2曲(「オレハ貝ニナル」「自爆」)、ブラン第1期に出来た2曲(「Lorca(仮題)」「夢うつつ」)、1期と2期の間の変則メンバー時に作って、2期で完成した1曲(「その先」)、そして現メンバーのブラン第2期に出来た2曲(「うつし世は夢」「やわらかな夢」)とブラン集大成ってな収録曲のバランスも個人的に感慨深いものがあります。このような機会を設けて下さったギューンのスハラ社長に改めて感謝感激。

全く持って自分の、そしてバンドにおける良い区切りとなった気がいたします。お陰で新たな気持ちで曲作りに臨めるようになり、活動の幅も広がった気がいたします。

正直客観的な耳でどうこうということは全く云えないのですが、良いロックアルバムだと思います。まだの方は是非とも何卒。


【総括】
そんなわけで最後の一枚でほとんど総括してしまった感がございますが、こんな1年でございました。その他には20年を経てデジタルリマスターでとんでもないことになったロンバケやゲントウキの新譜、シノワ、Place Called Space、マーガレットズロース辺りを好んで聴かせていただきました。
そんなこんなで2002年も遁レコブランを何卒ご贔屓に。(2001.12.29.了)