98.2.12.Up!!
平田徳雨(シノワ/トレモロ家族)
古江尚(絶対無/伽藍堂)
古殿竜夫(BB5エキスパート)
山内かおり(シノワ)
六弦斎(ホームラン商会)
筒井陽一(DM研/月面遊園地)
石垣窓(フリーボ)
金森幹夫(Cheepnis Pages)
すまいる魔人YOSHI
         (BB Cult Page)
Daisei Inoue
    (Diesays/MinorRecords)
サカテヨウスケ(ドードー舎)
オカモト(フラ、元ブラン)
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'97年私の5枚

 

 


chante barbara オカモト(フラ、元ブラン)




1.THE PROSTHETIC CUBANS/MARC RIBOT Y LOS CUBANOS POSTIZOS
(Atlantic83116-2)

マーク・リボーはトム・ウェイツやコステロのバックで弾いていた頃から注目してたけど、気まぐれに買ったこのリーダーアルバムがこんなにいいとは思わなかった。キューバの作曲家、故アルセニオ・ロドリゲスの曲のカバーを中心にしたラウンジ・リザーズばりのフェイクキューバン。本来はカーッと暑いところの開放的な音楽なんだけど、リボーのアプローチは密室的で、すきまだらけの音なのにムンムンする地下のクラブで聴いてるみたいな密度がある。やっぱりNY、ニッティング・ファクトリー周辺の人なんだな。



2.DOMINGO(SUNDAY)/CAETANO VELOSO & GAL COSTA
(PHILIPS PHCA-4203)

1曲目からいきなり気怠く、美しい。リアルタイムなボサノヴァ・ムーヴメントの終幕を告げたオマージュの様な1枚。ボサのアルバムは(僕自身も)気楽に、気持ちよく聴き流しているだけのことが多いが、このアルバムはそうではなく、じっくり一音一音を受け止める価値のある、素晴らしい音楽だと思う。雨の日や夜中に聴くのがふさわしい、簡素で静謐な世界。



3.さよならセシル/小島麻由美
(PONY CANYON PCCA-01206)

間違いなく、現在の邦楽シーン屈指の才能を持つアーティストの、行き止まりまで来た3作目。アルバムトータルとしての作り込まれた完成度では前作の方が上だけど、歌の深さはやはり新作に分がある。次のアルバムもすごく楽しみだけど、例えば、全編ばりばりの(所謂)歌謡曲に挑戦するとか、全ての楽器を自分一人で演奏する様な私的なアルバムであるとか、要するに、これまでとは違ったアプローチを期待せずにはいられない。別にこれまでのアプローチに飽きている訳ではないが、まだまだ違うことができる可能性があると思うから。



4.DI DOO DAH / JANE BIRKIN
(fontana 558 829-2)

アナログ起こしのブートも出回っていたが、今年、ついに正規盤が再発された。
これは73年にリリースされたソロ名義でのデビュー作。“KAWASAKI”1曲の危なさにヤられ、結局、再発されていた5枚全部買ってしまった。作詞作曲からアレンジから、全てゲンスブールあってのバーキンだが、素材としてのバーキンの魅力も爆発している。



5.CA VA/SLAPP HAPPY
(V2 V2CI 0021)

ファウストをバックに録音されたカサブランカ・ムーンのデモヴァージョンこそが彼らの本質だと思っていただけに、不意に聴かされたら、これがスラップ・ハッピーの(23年ぶりの)新作だとは思いもしなかっただろう。今になって新作がリリースされたこと自体が驚きだが、今でしか出せない音という訳ではなく、何故か80〜90年代の汎ヨーロッパ的な音になっていた。メンバーであるピーター・プレグヴァドの新譜もかなりよかったけど、それもこのアルバムなしには恐らく僕にとって聴く機会すらないままだったであろう。そういった意味でも、めちゃめちゃ好きという訳ではないが、やはりこのアルバムを見過ごす訳にはいかない。



【総括】
上記の5枚は、今年の前半に聴いていたものが何故か全く思い出せないため、ほとんど夏以降に聴いていたものばかり。上記の他に、相変わらずかっこいいPJハーヴェイや、たった1人でエレクトリック/ファンク期のマイルスに挑んだスクエアプッシャー、音の咀嚼具合がベックより好みだったトン・ゼーの新譜はよく聴いた。

今年はボサノヴァ生誕40周年らしく、ブラジル本国でも手に入らない様なアルバムが、こっちの財布が追い付かないくらい再発されてしまって、びっくりした。元々は、4年くらい前にフォークの弾き語りだと勘違いしたままジャケ買いしたアストラッド・ジルベルトの1st.がきっかけでボサノヴァを聴き始めたんだけど、こんな事態(再発ラッシュ)になるとは思いもしなかった。気楽なだけの、いい加減に作られたイージーなアルバムも多いけど、廃盤になる前になるべくたくさん聴いておきたいと思っている。

他には相変わらずジャズやサントラを聴いている時間が長かったけど、特に今年の5枚に挙げる様なアルバムはなく、以前から好きだったものを何度も聴いていた気がする。

あと今年は、去年のベスト1に挙げたバルバラの“chante barbara”が念願叶ってデジタルリマスターでCD化された(PHILIPS 536 891-2)のがすごく嬉しかった。一生聴いていく気でいるので、同じものを2枚買った。アナログの厚みのある音もいいけど、デジタルリマスターされたCDっていうのも別物としてすごくいいと思った。


◆'99年もよろぴく〜。オレなんかより書ける人なんだから色々手伝って下さいよ〜。
                            (遁レコ)


 




(C)TONSEI RECORDS