アダチカツノリ(遁生レコード代表)
1.Endless Harmony/The Beach Boys
(TOCP-50720)
もう云わずもがな。
今年はブライアンの新作とこいつにやられてしまった1年といっても過言ではない。結成35周年記念番組(米国VHI)のサントラでBB5版アンソロジー。
未発表曲、別バージョン、ライブ音源がぎっしり収録。タダでさえレコード会社とのゴタゴタ等クォリティの問題ではない理由でオクラになった音源が多いバンドである。内容は推して知るべし。
カールのソウルフルなロックの魅力、ブライアン抜きのライブバンドとしての力量等、気付かされること実に多し。
こいつ片手にBB5の歴史を紐解けば、そりゃBB5漬けにもなりますぜ。
1年じゃとても足らん。精進あるのみ。
2.Imagination/Brian Wilson
(BVCG-706)
Brian is Back !!
今回ばかりは宣伝文句でも何でもなく心からこの言葉を発して良いだろう。
'95年発表のセルフカバー集「I Just Wasn't Made For These Times」、同年のヴァン・ダイクのアルバムにメインボーカルとして参加した「Orange
Crate Art」とブライアンの身辺が慌ただしくなっているということは感じていたが、ついに出た!10年ぶりのオリジナルフルアルバムの2nd。
驚くべきはブライアンがあの透明な声を再び取り戻してるってこと。そしてメロディーメーカーとしての資質に何ら変化かがないこと。却って前作'88年「Brian
Wilson」よりも瑞々しく豊かだったりする。何よりブライアンの声が彼の現在の充実さを物語っている。もう大丈夫だ。
ポップミュージックと普遍性って言葉の本来的な意味からすると相容れないものかもしれないけれど、ブライアンは数少ない例外のひとつ。
いつだって心から感動できるし、それはこれからだってずっとずっとそうなんだ、きっと。
3.Sunflower...and more/TheBeachBoys
(boot)
'91年の再発時に買い逃し、来年の再発が待ちきれず購入のコピー版。
'70年の発表当時、セールス的には振るわなかったものの、さすが英国で「BB5のサージェントペパー」と評されただけの傑作。
ブライアン隠居時のバンドとしての充実度は「Surf's Up」と並ぶ。
全体的に漂うアコースティックな味わいは'68年「Friends」の感覚に近い。
デニスの絡む酔いどれ女たらしロックもカッコ良し。
もちろん彼の最高傑作であろう「Forever」も忘れてはいけない。
「I Just Wasn't Made For These Times」で取り上げたブライアンの傑作「This Whole World」、ブルースのドリーミーな小品群も心地よい。「Smile」ボツネタからは原題「Love
To Say Da-Da」の「Cool,Cool Water」を収録。
語りだしたらきりがなし。
「Pet Sounds」と「Smile」がBB5だと思ってる輩には絶対にたどり着けない秘境なり。
来年再発時には迷わず買うべし。
4.Smile/The Beach Boys
(original)
MP3との出会いは私を本当に夢中にさせた。
MDレベルの音質で最新のチャートものから大御所まで著作権侵害の罪悪感とサイト探しの努力だけで手に入れることが出来る。これでパソコンとステレオを繋げばまさにジュークボックス状態。・・・たまらん。
・・・そうです。いけないことなんです。・・・でもね。
世界中のロックオタクのサイトにブート音源のMP3がアップされだしたのはここ最近のことなんだろか。
さすがにアップされるのは名作音源、もはや西新宿でババをつかまされる必要もなくなった。インターネット万歳!
・・・いやいや、そうです。いけないことなんです。
そんなわけで。
何故師走になると作らずにはいられないのか、昨年に続いて製作の「Smile」編集音源。今年は某サイトの「Smile」ブートMP3から編集してCDに焼いた。曲順もここにのっとったが最後に「You're
Welcome」を追加。全18曲45分。
これがいいんだな。
売り物になるわ、これ。
遁レコ、ブートレーベル化なるか!?
5.太陽/中村一義
(PHCL5120)
全部BB5関連で固めようとも思ったが、嘘はいかんので最後にこれを。
待ちに待った2nd。
傑作シングルだった冒頭の「魂の本」から前作で夢中になったあの世界が再び僕を包む。
後半の「涙」〜「生きている」〜「冬」〜「いつも二人で」の流れにいつも胸が熱くなる。
そうだ今日も生きていこう。ネガティブなんてクソ食らえ。
でも前向きって何でちょぴりほろ苦い。
傑作。
総括。
昨年からその兆候はあったもののまさにBB5漬けの1年でござんした。
まぁそんな年があってもいいじゃないか。
次点として
◆からっぽの世界−タクト・デイズ−/ジャックス(COCA-15258)
ひっそりといつの間にか出てたタクト時代のシングル集。全て東芝ものとは別バージョン。
今にも崩れ落ちそうな「時計をとめて」が白眉。
田口さんいい仕事してます。
残るは「腹貸し女」のサントラ(祝ビデオ発売!)か。
◆さよならセシル/小島麻由美(PCCA-01206)
発売当日クロスレビューも慣行した待望の3rd。
キュンと胸に切なくて甘酸っぱくてちとからい。
ロックも歌謡も唱歌もジャズも、少女の躁鬱とはかなさの前ではどうだっていいのさ。
ちらっと覗かす女の性は単なる背伸びか本性か。
音楽もゴッタ煮なら性もゴッタ煮。
わからないから知りたくなるの。
こんな娘になりたいの。
◆あぶない音楽/Gyuune Phychodelic Sampler(CD95-13)
ブラン収録ってことを抜きにして、インディーもののオムニバスでこれだけ聴けるアルバムって皆無と云っても良いのではなかろうか。
各種雑誌媒体でも取り上げていただきました。
スハラさんいい仕事してます。
こんなところか。
あとは今年出会ったものではないけれど
Friends/The Beach Boys
Surf's Up/The Beach Boys
John Lennon and Plastic Ono Band/同
Chicken Zombies/Thee Michelle Gun Elephant
この辺りをローテーション。
そんな感じの1年でござんした。
'99年も色々と遊ばせていただきます。
何卒お付き合いを。
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