2000.3..28 up
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募集要項
→'98年私の5枚
→'97年私の5枚

 



アダチカツノリ/遁生レコード、ブラン
 mail:kakou@t3.rim.or.jp  url:http://webs.to.tonreco 



■Beach Boys/Unsurpassed Masters vol.15-17(Sea Of Tunes C9946-9952)

誰が何と云おうと99年最大収穫物はこいつ。
BB専門ブートレーベルSea Of Tunesが「SMiLE」関連のレコーディングセッションを最高音質でぶち込んだ全7枚。

去年辺りから「出るぞ出るぞ」と云われつつ、長いこと待たされたものであります。今年の初夏くらいでしたか、海外でのリリースが伝えられるようになって各種BBサイトやBBSでとんでもなく盛り上がっているんだけど、英語だからさっぱりわからん。そんな中、国内への荷物が税関で引っかかって、西新宿やらに出回るにはしばらく時間がかかりそうだなんて話になって何とも歯がゆい思いをしたもの。つぅか今現在も店頭で見掛けることはほとんどなくて、タイトル変えただけのコピー版がでかい顔して並んでる状況ですが。

まぁとにかく。
いやはやむさぼるように聴きました。
「SMiLE」音源の試行錯誤にとにかく夢中になったもの。執拗なまでに繰り返される「ストップ!やり直しだ」のブライアンの声。次々と音像を変え理想の姿へと発展していく楽曲。

そうなんだよ、僕だって自分の音楽の完成形が頭の中でちゃんと聴こえているならこうしたいさ。出来ないから君のかつてのやり方を夢中になって聴いてバンドの独裁者となった自分を夢想するのさ。
嗚呼、音楽的才能非保持者の時間浪費。しかし、幸せ。

とにかくまず「SMiLE」ものを1枚という方には、収録予定曲の完成形に最も近いものをオフィシャル、ブート入り混じりで収録したvol.16をお薦めいたします。さぁ君もこの泥沼にずぶずぶ埋まってみようじゃないか。

■Beatles/Yellow Submarine Songtrack(TOCP-65300)
99年裏大賞がBBのアンサパなら表大賞作はこいつでしょう。
ジョージマーティンの引退でついに禁断の扉を開けてしまったBeatlesリミックス。彼らの音が最もきらきらしていて「ポップ」だった66〜67年の作品を中心に新しい命が吹き込まれた音世界。

始めこのプロジェクトの話を聞いた時、楽曲をめちゃめちゃにしてしまうんじゃなかろうかと考えたモノだが、さすがはメンバー公認のお仕事、基本的に原曲に忠実ながら音の要素の一つ一つが立ち上がった深みと広がりある仕上がり。

映像の方も今年遅ればせながら初鑑賞。リプリントでとても30年前の作品とは思えない仕上がり。一つのイメージに別なイメージが重なり合って、それが意味するものを追いかけている内にまた別なイメージが被さってくるまるで気持ちいい夢の中にいるようなうっとりとした気分。あっという間の90分。

こいつはある意味危険な現実逃避映画であります。自分自身に煮詰まった時はすかさずこいつを大音量で見ることにしよう。

「Yellow Submarine」ってBeatlesの仕事の中で最も過小評価されているんではなかろうか。
日本の世界に誇るべきジャパニメーションだとか云っててもこの大昔の作品を超えているものがどれだけあるんだろか。

まぁ別にどうでもいい話か。要はオレが気持ちいい、それだけでいいっす。
音、映像ひっくるめて大賞受賞!

■Brian Wilson/Landylocked(Geritol/62042)
1stソロ「Brian Wilson」や幻の2nd「Sweet Insanity」と98年発表の「Imagination」の間を埋めるブライアンの音楽的試行錯誤期として外せない96年のアンディペリーセッション音源集が今年リリースラッシュで誠にうれしい限り。

「Brian Wilson and AndyPaley Sessions」(Chief's Records)、「Soul Searching」(Sound Improvement)など音質、構成とも優れたものがたくさんござんしたが、ちょっとピッチが早いもののジャケ、音質など総合面でこいつに軍配。ペリーセッションもので最初に手に入れたアルバムで最も愛着があるし。

音の感触としては「Holland」のソウルフルな味わいと「Sunflower」の優しさが入り交じった個人的にはブライアンソロの最高の仕事と感じている仕上がり。「Brian Wilson」「Sweet Insanity」のおもちゃ箱をひっくり返した世界も嫌いじゃないけどブライアン流ウォールオブサウンドがそのほとんどが日の目を見なかったもののこの時点で完成していたという事実が実に興味深くてうれしたのし。こいつを経て後者の部分が「Imagination」として実を結んだ訳だ。

一般的に長いことリタイヤ状態だったブライアンがリハビリ期間を経て昨年「Imagination」で帰ってきたっていうイメージがあるんだろうけど、1stソロ発表以来ブライアンの創作意欲にとどまることがなく優れた作品を作り続けていたわけで、それを世の中に出すことがうまくできなかったブライアンはホントに不幸な男だわ。でももう大丈夫だよな。

現在も比較的容易に店頭で見掛ける作品で内容の良さに対して単価も安いので、ご興味を持った方は是非ご入手を。

また今年は「Sweet Insanity」ものの決定版とも云えるEver Greenの2枚組(EGCD-01/02)も出ましたな。さっきも書いたけど89年に2ndソロ作として完成を見ながら、リリースを拒否された不遇のアルバム。基本ラインは1stに近いけど悪名高いが憎みきれない精神科医ランデイの支配下にあったブライアンがポップなサウンドに露骨なBB批判や自己否定を盛り込んだ作品。ディランとのデュエット作や過去のBB作品をコラージュしたラップなんかもあったりしてこいつも楽しいんだなぁ。マスターテープ盗難でもうオフィシャルリリースは望めないんだろうけど、こいつは孫テープくらいの音質で充分楽しめます。

■John Lennon/Mind Games(TOCP-6858)
99年はジョンの作品を聴きまくった1年でもありました。良いとはわかっていても何だかいつでも聴けるからとついつい後回しにしていたというのが正直な所。苛立ちも泣き虫も全部さらけ出した「John Lennon & Plastic Ono Band」「Imagin」も大好きだけど、「とりあえずジョンを1枚」って時に手が伸びるのは決まってこの作品。ジョン個人としては政治問題やらヨーコとの不仲がささやかれたりして大変な時期だったみたいだけど、ジョンがこんなに安らかな声を出してたのってこの作品ぐらいなんじゃなかろうか。

どうも一般的に評判が芳しくない作品みたいだけど、よくわかんないもんであります。アルバムとしての完成度は一番高いと思うんだけど。

「Mind Games」「Sisumasen(I'm Sorry)」「Out The Blue」等名作多数収録。
何だかんだでヤラレタ日はこいつに随分助けられた、そんな1枚でありやした。

■John Lennon & The Beatles/It's Not Too Bad(PegBoy PB1008)
一度足突っ込んだらもう出られないだろうと見て見ぬ振りしてきたブート界にずっぽり入り込んでしまったのがまさに今年。CD-R導入でもっぱらトレード専門で自分財布が痛むってことはあまりないのだけれど、Beatles、BeachBoysをメインにさっき数えたら集めに集めたり聴きに聴いたりの300枚以上。トレード界ではいっぱしのコレクターに成り上がってしまいました。バカですねぇ。

こいつはまさにそのきっかけとなった1枚。
ずっと欲しかったんだけど当時は店頭であまり見掛けなくなっていたんだよなぁ(最近は再プレスものが4000円しない位で出てます)。

副題「The Evolution of Strawberry Fields Forever」が示すとおり、同曲のデモからリハーサル、そして完成テイクまで製作過程の現存する音源を詰め込めるだけ詰め込んだ作品。たった1曲でこんなアルバムが出来るのもこの曲がどれだけ彼らの楽曲の中で特別な位置にあるってことかと思う。

テレコで録音したようなアコギ一本での作りから始まり(これはジョンも一緒なんだよなぁ。途中風呂場で録音したりして。これもやるやる、うんうん)、自宅のスタジオでのデモ作成、ビートルズとのセッション、そして完成形へとまさに原石がダイヤモンドへと発展していく様を覗くことが出来る。至福の60分。

そんな喜びを私みたいな不器用に全てを書き表せる訳はなく、時々メールのやりとりをさせていただいている札幌の大道さんが「Strawberry Fields Forever」研究サイト「Nothing Is Real」を運営されているので是非こちらもご覧くださいませ。

次点
■Brian Wilson/出る出るブライアン(TORCD-997)
自分が粘着質の性格だってことは重々承知してたけど、この次点入れてBeachBoys関連が3、Beatles関連が3となるとは大笑いです。でも昨年は5枚の内BB関連が4だからちょっとはリスナーとしての幅が出てきたってことなんでしょうかね、はい。でも97年の時はまだ健康的だったんだけどな。まぁとにかく1年間聴いてきた音楽の中で最も印象に残った上位ということで、こればかりは嘘はつけないわけで。だって聴いてて面白いんだから仕方がない。

さてさて本題。
99年私の音楽的最大の事件といえば何と云っても7月のブライアン来日。さんざんハマロクコーナーやらで騒がせていただきましたが。生きてて良かった、ガンバッテ来て良かったとはまさにこのこと(ねぇ、フルタツさん?)。

当初神を拝みに行きでもするみたいな覚悟でいたのだけれど、いやいやブライアンは唄を作って唄う人。それはそれは楽しい時を過ごさせていただきました。2000年再来日との噂もありますが、この至福の時再びとなるのであればこの新しい年もがんばり甲斐があるってもんだ。

このアルバムは公演前、演奏予想曲(実質全部当たりだから予定曲)をCD2枚にぶち込んだもの。遁レコのCDナンバー振ってありますが要するに手作り。MDだとアンコールの「Love And Mercy」の途中で切れちゃうんだよなぁ。
出掛ける時はいつもこいつを繰り返し繰り返し聴いて、来るべき運命の日に備えたのでありました。

当日の隠し撮りCD「Live In Japan 14th July,1999」(TORCD-999)もあるでよ。


○総括
というわけでこんな99年でござんした。
相変わらずあんまりリスナーとしては胸張れるもんじゃございません。

99年は表だったバンド活動が停滞気味で自ずと当サイトの更新も滞りがちだったのが何ともかんともお恥ずかしい限り。地道にしこしことやってはおったのですがねぇ。気ままに音楽に向き合ってたって云えば聞こえが良いかもしれんが、少し他人と音楽を作るって所から距離を置いてみたわけです。才能もないくせに偉そうなこと云ってますが。

そんなわけで取り憑かれるようにのめり込んだブート集めは良い気分転換となった気がします。国内外問わずたくさんの人と知り合いになれたし。BBやBeatlesのことなら一通りわかっていると自惚れていたけどまだまだひよっこだってこともよーくわかった。
こっちの勉強も続けて行かなくてはいけません。

夏頃からリハビリがてらバンド活動を再開し、最近やっと先が見えてきたって感じてす。よしもういっぺんやったろうじゃねぇか。2000年は攻めの一手なり!
2000年も遁レコ、ブランを何卒ご贔屓に。(99.12.25)


 

(C)TONSEI RECORDS