警視庁撮影・秘蔵のビートルズ来日記録フィルムの謎
何とも興味深いお話が記事となりました。
「記者は見た!警視庁が秘蔵の「武道館のビートルズ」記録」(朝日新聞デジタル)
要は、ビートルズ来日期間中の1966年6月29日~7月3日に警視庁が撮影した約35分のモノクロの映像が存在し、その公開が裁判を通じて求められているというお話。
その経緯は今年1月27日付の東京新聞でも報じられていました。
「ビートルズ「幻の映像」公開を 市民団体が東京高裁で係争中」
そこには、
警視庁は警備のため数千人の警察官を動員したとされ、メンバー四人が降り立った羽田空港や公演先の日本武道館、宿泊先周辺の車両検問やパトロール、観客の状況などを収めた。四人の到着や演奏、移動、搭乗の様子も含まれている。
とあります。
警備の記録が主目的であったことでしょうから、演奏の映像部分の存在に大きな期待を抱くのはちと違うのでしょうが、今回の朝日の記事には裁判で示された
演奏するメンバーが映ったコマも1枚あった。テレビカメラの真後ろから映しており、かなりステージに近い。不鮮明だが、ジョン・レノンがマイクに向かい、ギターをかき鳴らしているように見える。左側の人物は左利き。ベースのポール・マッカトニーだ。
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とあります。
また、
裁判で東京都側は、フィルムから切り出した画像70枚を資料として提出している。
とされ、記者が演奏シーンの画像を模写したというイラストを見ると、メンバーが黒の衣装を来ていますので、初回の6月30日夜の部のものと察せられます。他の公演の映像もあったりするのでしょうか。
(朝日新聞記者によるイラスト)
そして。
このうち約17秒分は、16年公開のドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK」にも提供された。
とあるので、早速「EIGHT DAYS A WEEK」を、念のためDVD版と何度かBSで放送されているTV版にて見返してみました。
収録されている演奏シーンは、6月30日夜の部から「Nowhere Man」。
ここには、特に真新しい映像が混じってはいません。
次に、エンドロールの映像提供者への謝辞を見ると、
「The Yomiuri Shimbun」とともに「Tokyo Metropolitan Police Department 」・・・警視庁の文字が確かに確認できます。
(映画「EIGHT DAYS A WEEK」エンドロールより)
おそらく使用されたのは、1966年6月29日深夜に羽田空港に到着したメンバーの姿、厳重警備の様子、右翼による騒ぎの様子の部分といったところなのでしょう。
・・・・にしても「アンソロジー」で使用された、恐らく読売新聞/日本テレビの映像とかぶるところがほとんどのように思われます。時々、モノクロの荒い画像が挿入されるのが該当箇所なのでしょうか。ここに映像の真新しさは正直感じませんでした。
何とか警視庁撮影の演奏シーンを一目見てみたいです。
さて、この記事を読んで、「アンソロジー」で挿入されていた7月1日昼公演冒頭「Rock and Roll Music」で下手(しもて)のリンゴ後方からの映像や、前方ポール側からメンバーを撮影した映像に腰を抜かしたことを改めて思い出しました。
(「アンソロジー」より)
これは、広報担当のトニー・バーロウが8ミリ・フィルムで撮影した映像とされています(「アンソロジー」のライナーノーツより)。
また、いつの日付かわかりませんが、ホテルから武道館に向かう際と思われる車内からの映像も「アンソロジー」に収録されていてワクワクします。これも是非いつか全編見てみたいです。
(「アンソロジー」より)
さて。
今回の警視庁による記録映像は、地裁判決では「映像は鮮明であり『特定の個人を識別できる』」として肖像権や個人情報保護の視点から公開を拒まれているようです。
本当にこれが理由なのでしょうか。
どうも他に公開を拒む理由があるように思えて仕方がないのですが、違いますでしょうか。
まだまだ見たいもの、知りたいことはたくさんあるものですねぇ。
【追記】
本記事が朝日新聞の紙面に掲載されたのは、愛知版のみの模様です。