映画「ジョン・レノン 失われた週末 THE LOST WEEKEND」の雑な雑感
いやぁ、予想以上の面白さだった。
映画「ジョン・レノン 失われた週末 THE LOST WEEKEND」。
1973年秋から75年初頭にかけてのジョンとヨーコとの別居期間。
ジョンのパートナーとして、生活と活動をともにした、元ジョンとヨーコの個人秘書でジョンの製作活動のコーディネーターだったメイ・パン視点から描かれたジョンの思考と発言と活動と生活のお話。
メイ撮影だったり保有と思われる見たことのない写真や映像、何処かでその断片は見た記憶があるテレビ出演やニュースの映像が続々と流れる。少々長尺だとその背景もよく理解できて『あー!この映像はこの時こういうことだったんだ!」と膝を打つこと多々。
興奮!
過去発表された時にひっくり返った、あの1974年4月1日撮影とされるジョン宅プールサイドでのポールとの2ショット写真(メイ撮影のものとマル・エバンス撮影のものがある)も、実はポールとリンダはヨーコからある命を受けていたということがメイから語られ、写真が少し別の印象になってしまった。
でも、そのエピソードってホントなのかな?
この時期、ジョンとポールとの交流が複数回あったことが、写真や音源と証言と共に明らかにされて、ニューオリンズでウィングスのレコーディングの予定という話に、ジョンは参加または共作を意識したという。
『たられば』話をしても仕方ないけれど、もし実現してたら「ヴィーナス・アンド・マース」にジョンが参加してたってことになるのかな。
そういえば、この映画の中で、何か行動を起こす、決断をするタイミングで、「星が良い」または「悪い」というジョンやヨーコの発言が何度か出てきてた。
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共演が結局かなわなかったこのアルバムタイトルの「金星と火星」って何か隠された意味があったりするのかな。
1974年前後に、ビートルズ再結成の噂がまことしやかにおどったという話を史実で読んだことがあるけれど、あながち根拠がまるでないわけではなかったのですね。
さて。
この映画で語られる物語は、飽くまでメイ視点のお話で、愛だ恋だ信頼だ裏切りだの感情に関しては、メイにもジョンにもヨーコにも感情移入せず、努めて冷めた感情でただただ面白がって相対することにしていた。
でもしかし。
さすがに親の身勝手な行動と都合で、父親との関係が複雑になってしまったジュリアンの事情には心動かされてしまった。
その間を取り持つことで交流を重ねることができるようになったというメイの功績には拍手。ジュリアンのメイに対する信頼と感謝の言葉は本心だろう。
あの、ラストのシーンには正直涙が抑えきれなかった。
さて。
正面切って「失われた週末」での出来事がここまで詳細に明らかにされるのは、ヨーコが高齢となったこと、健康状態が良くないとされることも関係があるのだと思う。
メイは1980年代に伝記『Loving John』を出しているが、当時はスキャンダラスな暴露本のような反応だったのではないだろうか。
この映画ではその当時のメイのテレビ出演の映像もたくさん出てくる。
エンディングでメイのメッセージが流れるが、その中にあった
「シンシアへ、やっと真実を語れる」
という言葉が、とてもとてもいろんな意味を含んでいるように感じた。
でも、いやしかし。
これは断じて、凡人が夫婦で観に行く映画ではない。
事前に、飽くまでひとりで観に行くつもりだと伝え、さらに
「この映画は、ジョンが愛人と生活していた時期の話だよ?」
「多分、ビートルズもジョンの曲も使われてないと思うよ? 」
って、言ったんだけどな…。
で。案の定、帰り道…
「だからロックやってる男はダメなんだ。」
「ロックやってる男はだらしがない。」
「ロックやってて真面目な人っていないの? クラプトンとかは真面目そうよね。」
「…え、あ。クラプトンは、ジョージの奥さんに惚れて奪うように結婚したんだよ? 『レイラ』ってその歌だよ。」
「わー。でしょ?やはりロックやってる男はダメなんだ。要は誰でもいいんでしょ? 嗚呼、だらしがない!」
と止まらない。
どうせ私のこともそう思ってるんでしょ?
しょぼーん。
そういえば、2年前の「Get Back:ルーフトップ・コンサート」の時も私が「IMAXの映像と音声すごいなぁ」と感動していると…。
「オノ・ヨーコ、真顔で気持ち悪い。あなたの職場で、私があなたの真横であなたを真顔で見てたらやばいやつじゃん。」
が唯一のコメントだった。
僕は、そのあと、この映画を4回ひとりで観に行った。
こうも観てるとこが違うのね。
おあとがよろしいようで。
映画「ジョン・レノン 失われた週末 THE LOST WEEKEND」。
実に楽しゅうございました。
お初の写真や映像に興奮したり、泣いたり笑ったり、ジョンの姿にうっとりしたり、すっかり夢中になってしまいました。
来週もう一回ひとりで観に行こうかな。