映画「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」雑感
「ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死」を観に新宿 K’s cinemaへ。
(以下、ネタバレありそう。)
ブライアン・ジョーンズ。
なんだか、ずっと掴みどころのない人物でした。
ストーンズの絶対的リーダーで、音楽センスは抜群。
ディランともジョンとも仲良し。
でも曲は作れない。
自信満々で、性格悪くて、ヤなやつ。
この映画でも、次々とこのおなじみのエピソードが語られます。
ストーンズではファッションもたたずまいも一番かっこよくて、まさに初期リーダーって印象でした。
「Under My Thumb」でのマリンバや、「Paint It Black」でのシタール、「Let’s Spend The Night Together」のピアノ、その他ハープやスライドギターなど、そのマルチプレーヤーぶりで、ストーンズの数々の代表曲に強烈な印象を残した人でした。
なので、この手のドキュメンタリーにありがちの、権利問題でストーンズの楽曲が使われていなかったのは非常に残念。ブライアンの音楽的才能や、センスの評価のコメントとともに、それを裏付けるストーンズの音楽を鳴らして欲しかったです。
それもあってか、上映中に数回ウトウトしてしまう時間があったことを告白します。
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しかし、一方で、後半はすっかりぐいぐいとのめり込んでしまいました。
これまでのブライアンの死因の定説であった「自宅のプールでのアルコールとドラッグ使用による溺死」が、ほぼ間違いなく実は他殺であったことが、綿密な調査と証拠と証言で裏付けられます。
このくだりに入って、初めは正直、陰謀論かオカルトの話になるのではと身構えたのですが、いやいや、この数十年で『ブライアンの死因が、当時の取り巻き達による他殺であった』という事実と裏付けが詳細に進んでいたことを遅ればせながら知りました。
そして、そこにも複数の構造があるようです。
60年代に台頭したサブカルチャーとドラッグの蔓延による風紀の乱れを食い止めるため、見せしめにポップスターの摘発と締め付けをおこなった体制側。その矛先はドノヴァンだったり、ビートルズだったり、ストーンズらだったわけです。
しかしそれは表向きのお話で、その風潮の中で、ブライアンの死因を「自宅のプールでのアルコールとドラッグ使用による溺死」とうやむやにされたようなのです。
それに加えて、この風潮に取り込んで、ブライアンがストーンズをクビになってもたらされる予定だった稼ぎを見込んだ取り巻き達と、警察をはじめとした体制側の癒着があったように思われます。
かのロックスターの死はこんなにちんけな話だったのですね。残念で仕方がありません。
この世の中は、彼の死の50数年経っても本質はあまり変わっていないのですね。
途中眠くなっちゃったけれど、見どころと学びも多数でした。
偉そうなやつとニヤニヤ寄ってくる権力者を疑え。