映画「リトル・リチャード〜アイ・アム・エヴリシング〜」雑感
いろんな感情に心を揺り動かされました。
映画「リトル・リチャード〜アイ・アム・エヴリシング〜」。
※以下、ネタバレありかも。
圧倒的で強烈な声、リズム、ステージアクション。
なんてったってポールのシャウトはもろの直系。
「Long Tall Sally」に「Hey-Hey-Hey-Hey!」「Lucille」だ。
ジョンなら「Slippin’ and Slidin’」ですな。
ジョンの映像作品としてリリースされている「スウィート・トロント」に1969年のリトル・リチャードのド派手なステージが収録されていて、若い頃びっくらこいたことを覚えています。
人種差別、同性愛差別が激しい時代に、叫び、強烈なビートで踊り踊らせ、派手なメイクと衣装も強烈なインパクトを与える堂々たるエンターテイナーぶりに痺れます。
ここにはロックもR&Bもソウルもパンクもグラムロックも、あれもこれも詰まっている。
ひたすら聴くものを楽しませ、圧倒するステージ。
ブラックユーモアを交えた発言など、彼には肯定感と明るいイメージしか持っていなかっただけに、常に葛藤と「自分こそロックミュージックの始祖である」という自負、しかし世間からは認められない(決してそんなことはなかったのだが…)、不安定な生き様が胸を打つのです。
50年代後半に人気絶頂の中、急に引退し、大学で神学を学び牧師となってゴスペルを歌っていたなんて、そんなロック史は不勉強にて知りませんでした。
1962年にショービジネスに復帰したのちも、表向きはポジティブに振る舞いながら
「俺の作ったフォーマットで白人は上手に商売をしやがって。俺に敬意はないのか?」
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という思いを何十年も強く持っていたようです。
(決してそんなことはなかったはずなのですが…ただ印税契約の問題など、金銭的にはけっして恵まれていなかったようです。)
1997年の「アメリカン・ミュージック・アワード」で彼は功労賞を受賞します。
「だろ? やっとわかったか?!」
と、冗談半分にアジるのかと思えば、なんと本気で涙し始めた彼の姿に、私も涙腺完全崩壊。
あの時彼の脳裏には一体どんな思いがよぎったのだろうか。
あと、前半にリチャードが影響を受けた、ゴスペルとブルースをミックスしたようなロックの原石のようなシンガーが複数紹介されるのだが、エレキを弾きながら歌うシスター・ロゼッタ・サープにショックを受けました。
かっこええ。
いやぁ、良かった。面白かった。
そんなこんなを書きながら、久しぶりのおひ鳥貴族。
まだまだロックの奥の細道に学びえてないこと多々あり。