映画『リバイバル 69 ~伝説のロックフェス』雑感
いやぁ、テンポ良く痛快な映画でした。
1969年9月13日にカナダのトロントで開催されたフェス「トロント・ロックンロール・リバイバル」の舞台裏を追ったドキュメンタリー。
本イベントは、チャック・ベリー、リトル・リチャード、ジーン・ヴィンセント、ジェリー・リー・ルイス、ボ・ディドリーらのロック・レジェンドを集め、現代にロックを引き継ぐものとしてシカゴ、アリス・クーパー、そしてドアーズが参加する画期的なイベントとして企画されたそうだ。
ジョン・レノンは、ヨーコ、エリック・クラプトン、クラウス・フォアマン、アラン・ホワイトの編成で「プラスティック・オノ・バンド」として出演。まさに即席バンドで、リハーサルは移動の飛行機内と、出番直前の会場控え室で行われたのみだったという。
この時のプラスティック・オノ・バンドの演奏は、音源は「ライブ・ピース・イン・トロント 1969」として、映像は「ジョン・レノン スウィート・トロント」というタイトルでリリースされている。
アルバムのリリースが、イベントから3ヶ月後の1969年12月12日というスピードというのがすごい。
(ちなみに「アビー・ロード」のリリースは1969年9月26日)
映像の方は、20年ほど前の初見時『ジョンの作品なのに、どうして50年代からのロックスターの演奏がが入ってるのだろう』と、よく背景が理解出来ていなかったのですが、本来は、彼らがメインのイベントであったのですな。…とロック正史のお勉強にもなりました。
ちょっと調べればわかる話でしたが…。
さて。
映画『リバイバル 69 ~伝説のロックフェス』であります。
(以下、ネタバレあるかも。)
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「ロックの大御所まとめて呼んだらすごいイベントになるぞ!」
「あれ?チケットが全く売れない」
「じゃドアーズ呼ぼう!」
「あれ?でも売れない」
「こうなりゃジョン・レノンだ!」
「え?そんなこと出来んの?」
「あれ?ホントに来てくれるってよ?!」
てな、フェス成立までのバタバタ。
ジョン・レノンのブッキングのくだり(電話の音声録音が残ってるのもすごい)、ジョンの情緒不安定ぶり、アリス・クーパーのニワトリ噛みちぎり殺し伝説の真実、ドアーズはモリソンのチンポ出し騒動で謹慎状態だったが、カナダではライブが出来たいう不思議な話など、聴きどころ見どころたくさんで飽きない。
ドアーズが、演奏の撮影収録を拒んだというのはとても残念。
でも音源は残っているようで、1曲目「The End」のイントロでロックの先人たちへの賛辞を詩的に述べるモリソン。
そして、もろもろロビー・クリーガーの発言も貴重。
もちろんチャック・ベリー、リトル・リチャード、ジェリー・リー・ルイスなどロックの大御所の存在感もすごい。まだまだ現役バリバリの頃だもんね。
特にリトルリチャードのシャウトに、ポールへの継承を改めて強く感じることができました。
空港から豪華な黒のリムジンで会場へ向かうジョン一同を約80台のヤンチャなバイク乗りたちが先導、誘導する様も圧巻でニヤニヤ。
プラスティック・オノ・バンドの演奏は、かなり賛否の反応があったことが察せらる。
『ビートルズのジョンの新バンドを観に行った』
ら、練習もそこそこの演奏と、ヨーコの前衛パフォーマンス、そしてぶっつけ本番で新曲も披露。
当時の最新曲「コールド・ターキー」のレコーディングはこの約2週後の9月26日で、アレンジは全然固まってない、まさに勢い一発。でもこれがいい。ジョン兄貴の力相撲。
そしてヨーコのシャウトを中心に置いたフリー音楽のステージ。
ヨーコ中心のシャウトノイズインプロ大会(「John ,John」)で、ジョンがアンプをフル10にしてギター押し付けたりして暴れてるのに、クラプトンは『オレ、こういうの好きじゃないんだよなぁ。楽器は大事に使おうよ』っな感じて、しゃがんでストラップで弦を撫でてなんとなくそれっぽくしてる(ように見えた)のが、グッときた。
これは特別な体験だったと思う。
ああ、面白かった。