四谷大木戸『自慢本店』の全国展開を追う【静岡店編】
今年の春に資料集めはしたものの、ほったらかしになっていた「自慢本店」調査の再開を引き続き。
さて。
新宿店に続いて、前述の「会社企業名鑑 昭和46年版(1971年版)」(総理府統計局(現・総務省統計局)調査・編集・出版)に記載のあった
『自慢本店 静岡店』
(静岡県静岡市鷹匠町1-71 新静岡ターミナルビル)
は、比較的すぐに確認することができました。
新静岡ターミナルビルは、現・株式会社静鉄ストア(しずてつストア)が1966年に竣工した商業施設で、店名を「新静岡センター」と称し5月にオープンしました。(株式会社静鉄ストア 会社沿革より)
1971年版の住宅地図にて、新静岡ターミナルビルの位置と、自慢本店が5階「森のプロムナード」にあったことが確認できます。
(ゼンリンの住宅地図 静岡市 ’71(日本住宅地図出版事業協同組合)より)
(ゼンリンの住宅地図 静岡市 ’71(日本住宅地図出版事業協同組合)より)
店の様子は「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)に詳しく紹介されています。
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
本文では下記の通り大絶賛。
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料亭の本格料理を安価に提供する自慢本店は、檜の持つ美しさを直線ですっきりとまとめた印象的な店である。この店の特徴は、眺めのすばらしい窓際のスペースを十分にとり、厨房にあてたことである。昼間は電燈なしでも仕事ができ、精神的にも肉体的にも疲労せず能率的である。調理にたずさわる人は、この厨房のおかげで、忙しいときでも落ち着いて仕事ができると喜んでいる。この店の厨房は業界の模範例といっても過言ではない。
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
しかし、
・「眺めのすばらしい窓際のスペースを十分にと」った
・「昼間は電燈なしでも仕事ができ、精神的にも肉体的にも疲労せず能率的」な
・「業界の模範例といっても過言ではない」
という厨房の画像が一枚も掲載されていないのがおかしい。
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
設計 水間亨之
経営者 高橋勇。
開店 昭和41年(1966年)5月15日
面積 111.5平方メートル
従業員 19名
客席 58席
営業時間 午前11時〜午後8時
主なメニュー 釜めし 260円 やきとりご飯 300円 天ぷら御飯 400円 さしみ御飯 400円
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
(「食堂建築秀作シリーズ3・和食の店」(柴田書店・1969年8月1日刊)より)
新静岡センターは、2009年1月31日をもって閉店、2011年10月5日、跡地に新静岡セノバができ、現在に至ります。
(ウィキペディア「新静岡センター」の項より)
引き続き自慢本店を追います。(つづく・・・予定)