たてものハイ:梵寿綱の建築物を巡る その6(2022年5月22日追記)
先週(2022年2月6日)の西川口「Pozzo Bianca」への梵散歩は、「1日1梵!」なんて言いながら、実はこの日、もう1梵していたことを告白します。
西川口から、丸の内線方南町へ。
向かうは、マンション「カーサ和泉」。
たどり着けば、なんと現在絶賛改装中でありました。
そのため、建物の全景を観ることが出来ませんでした。
が、しかしそこには隠しきれぬ梵寿網ワールドが溢れ出ていました。
半地下のエントランスに降る階段途中の正面にある、レンガモザイクの緻密な絵画。
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バロックというのかルネッサンスというのか洗練された装飾。
梵寿網が好んで用いる星座をモチーフとした窓ガラスの細工。
エントランスにはレンガ使った黄土色の壁面を基調に、昼夜を表現したタペストリーのようなレンガアートやステンドガラスを用いた照明が多数。
天井の模様も良し。琉球を感じさせる瓦のような装飾も印象に残ります。
実に、実に落ち着く空間です。
エレベーターに施された赤をベースしたエッチングのような装飾は梵建築定番ですが、やはり引き込まれ、面白い。
・・・ただ、現在絶賛改装中の梵建築を目の当たりにして、不安が押し寄せても来ます。梵寿綱が手がけた建築物は50年以上の時を経ているものもたくさんあります。既に取り壊され、もうこの目で見れないものもあるわけで、そして、このように修繕を余儀なくされ、ありし日の姿を失うこともあるのでしょう。
建築にも美術にも疎い私でありますが、自分の心をざわつかせる梵の表現物を、観れる内に出来るだけたくさん見逃さないようしておかなくては思いました。
しかし、「カーサ和泉」には、床面のタイルアートを損なわないよう保護するなど、梵寿網の世界をできるだけ保っていこうという意志を感じました。
「カーサ和泉」の改修完了後の姿も楽しみにしています。
1日1梵。
【追記】2022年5月22日
「カーサ和泉」を再訪問。
ついに相対することができた純白の壁の巨大集合住宅。
エントランスのあるすこし前面に出た中央棟に対して、きれいなシンメトリーの設計。
エントランス前のモザイク画のタペストリーも本来の姿を見せました。
前回訪問時は、黒いシートで養生されていたエントランスからエレベーターホールまで続く床面には、六角形のタイルが敷き詰められていました。
ヨーロッパ風にも日本の焼き物のようにも感じられる上品で洗練された絵柄が素晴らしい。
ついに「カーサ和泉」の本来の姿を見ることができました。
改装工事を経て、梵建築の命がさらに未来へと引き継がれて行きます。
嗚呼、素晴らしい。
(→「たてものハイ:梵寿綱の建築物を巡る その7」に続きます)