1960年代、四谷大木戸にあったジャズクラブ
ヤフー・オークションに非常に興味深い出品物が上がりました。
われらが四谷大木戸にあった「CLUB 48」というジャズクラブの出演スケジュールのチラシです。
記載されている住所は「新宿区四谷4-30」。
ちょうどこれは自慢荘、トルコ「大木戸」の真裏のブロックに当たります。
掲載されている地図が示すのもまさしくそこ。
トルコ大木戸の裏には、ジャズのライブハウスがあった?!
熱を帯びた音楽と酒に身を委ねた男たちが、興奮をそのままに、人目を忍んで「大木戸」の半地下への階段を下り癒しを求めた・・・なんてこともあったのでしょうか。
妄想は止まりません。
さて。
では、果たしてこのチラシはいつ時期のものなのでしょうか。
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チラシには住所とともに「新宿1丁目電停 新宿文化会館入る」という文字が確認できます。
電停とは「路面電車の停留所」のことです(weblio辞典「三省堂 大辞林 第三版 」)。
この新宿一丁目駅を通る路面電車、都電新宿線は1970年3月に廃止となります。
つまりこのチラシは、まず1970年3月以前のものであるということがわかります。
次に、出演スケジュールにある日付と曜日に注目します。
10月1日が火曜日で始まる年を、1940年代以降で調べると
1942年(昭和17年)
1957年(昭和32年)
1963年(昭和38年)
1968年(昭和43年)
に絞られます。(参考:暦のページ)
次に出演者の生年月日を検索します。
チャーリー石黒 1928年1月20日
秋満義孝 1929年8月19日
鈴木章二 1932年8月16日
山崎唯 1933年5月29日
横内章二 1933年11月9日
大矢隆敏 1935年3月21日
猪俣猛 1936年2月6日
菅野邦彦 1936年10月13日
井上良 1937年
ジィミー竹原キューバンビーツ 情報なし
最年長のチャーリー石黒が14歳、最年少の井上良が5歳ということになる1942年(昭和17年)はここで消えるでしょう。
1957年(昭和32年)で、最年長のチャーリー石黒が29歳、最年少の井上良が20歳というのも微妙な気がしますが、ひとまずは保留にします。
続いてグループの結成時期を調べてみます。
ここでは、猪俣猛とウェストライナーズに着目します。
ウェストライナーズは、結成こそ1957年ですが、猪俣猛がリーダーとなり「猪俣猛とウェストライナーズ」と名乗るのは数年後、という記載があります。(参照1/2)
また、地図に記載がある地下鉄丸ノ内線の歴史を確認すると、池袋~新宿間が開通するのは1959年であることがわかります。(公益財団法人メトロ文化財団「丸ノ内線建設史」)
よって、やはり1957年(昭和32年)も消えました。
つまり、このチラシは、1963年(昭和38年)、または1968年(昭和43年)のものということになります。
四谷大木戸の地に「CLUB 48」は、トルコ「大木戸」と同時期に存在したことが確定できました。
ではではいよいよ当時の住宅地図を当たってみましょう。
手元にある1962年版、1963年版、1967年版、1978年版の新宿区四谷4-30に目を凝らします。
・・・しかし「CLUB 48」の文字は見つけることができませんでした。
チラシ掲載の地図では新宿区四谷4-30全体が「CLUB 48」として黒々と塗りつぶされているのに・・・・。
では、どこかのビルの中にあったと考えるのが自然でしょうか。
角にある「服部ビル」が怪しいでしょうか・・・・。
四谷大木戸にあったジャズクラブ「CLUB 48」の姿を完全には追いきることが出来ませんでしたが、目をつむれば見えてくる四谷大木戸の風景にまた新たな彩りが加わった感があります。
どなたか1960年代に四谷大木戸にあったジャズクラブ「CLUB 48」の記憶がございましたら情報をお寄せ願います。
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[…] 続きです。 […]