Led Zeppelin「929」:「How The East Was Won」リリース所感
色んなドラマがありました。
あの熱い熱い春の出来事から数ヶ月。
つ、ついにそのお宝を耳にする日が現実のものとなりました。
Led Zeppelin、1971年9月29日大阪フェスティバル・ホール公演(通称「929」)のサウンドボード録音音源「伝説のライヴ How The East Was Won」(Empress Valley)のリリースであります。
当時、日本のレーベル、ワーナー・パイオニアがリリースを見据えて録音したものの、結果はバンド側からダメ出しをされてお蔵入りとなった音源。
つまり公式録音音源が47年の時を経てついに日の目を見たという事件なのであります。
8月下旬。
西新宿の某店にて、
『9月29日 新譜入荷予定 質問はしないでくださいね。 拡散してください。』
という告知がされたことがツイートされました。
本日のBFの新しい告知です。
『9月29日 新譜入荷予定
質問はしないでくださいね。
拡散してください。』— 70’s ROCK大好き親父 (@yuminori0616) 2018年8月25日
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本日のBFのPOPに、追加のメッセージが書き添えられておりました。
『9月29日 新譜入荷予定
話しかけないでね
が・ま・ん
質問しないでくださいね
本当によろしくお願いいたします』— 70’s ROCK大好き親父 (@yuminori0616) 2018年9月1日
当然、誰もが
「やはり。つ、ついに・・・『アレ』が出る。」
と固唾を飲み、しかし静かに、かつ必死に詳細探りを内に内に秘めたはずです。
そしてその日が近づくにつれ、その全貌が明らかになって来ました。
今回「伝説のライヴ How The East Was Won」としてリリースされるのは、下記の9曲、2CDということが明らかになりました。
1.Immigrant Song
2.Heartbreaker
3.Since I’ve Been Loving You
4.Dazed and Confused
5.Smoke Gets In Your Eyes
6.What Is and What Should Never Be
7.Moby Dick
8.Communication Breakdown
9.Rock and Roll
ん。あれ? やけにあっさりしてないかい?
ではでは。
1971年9月29日のセットリストを確認してみます。
1.Immigrant Song
2.Heartbreaker
3.Since I’ve Been Loving You
4.**Black Dog
5.Dazed and Confused
6.*Stairway to Heaven
7.**Celebration Day
8.**That’s the Way
9.**Going to California
10.**Tangerine
11.*Friends
12.Smoke Gets in Your Eyes
13.What Is and What Should Never Be
14.Moby Dick
15**Whole Lotta Love
16.Communication Breakdown
(アンコール1)
17.**Organ Solo〜Thank You
(アンコール2)
18.Rock and Roll
曲名の前に※印のついているものが今回の「伝説のライヴ How The East Was Won」で未収録となった曲です。
内、※印がひとつの
6.*Stairway to Heaven
11.*Friends
は、今年前半に先行して1曲ずつリリースされた「Immigrant Song」(「伝説のライヴ How The East Was Won」収録音源)の購入者特典CD収録の「Friends」、そして「Stairway to Heaven」で補うという趣向になっています。
今年前半から仕掛けられたお楽しみに、決して安くはない額を貢いできた人たちの怒りを買わないための配慮なのでしょうが、なんともしくみが入り組んでいます。まぁ、楽しいのですが・・・。
で。
結果今回収録に漏れたのは下記の7曲。
4.**Black Dog
7.**Celebration Day
8.**That’s the Way
9.**Going to California
10.**Tangerine
15**Whole Lotta Love
17.**Organ Solo〜Thank You
「That’s the Way」「Going to California」「Tangerine」の名アコースティック・セットをはじめ、30分超えで、「Boogie Chillen’」「Tossin’ And Turnin’」「Twist and Shout」Fortune Teller「Good Times Bad Times」「You Shook Me」のメドレーをまじえたこのライブのハイライトでもあった「Whole Lotta Love」などの選外は、「いやいや音源が無いわけないでしょ」と思わず言いたくなってしまいます。
これは、単なる出し惜しみなのか、別な動きがあるのか・・・果たして。
そんな突っ込みはさておき、素直に「伝説のライヴ How The East Was Won」に向き合います。
んーー、はい。
先行小出しの「Immigrant Song」「Friends」「Stairway to Heaven」に悶絶興奮した私たちには、間違いなく文句なしの音源、音質であります。
「レッド・ツェッペリン:コンサートファイル」(デイヴ・ルイス共著・シンコーミュージック)では、マネージャーのピーター・グラントの発言にて「小さな6トラックのソリッドステート」で録音、「レッド・ツェッペリン 全活動記録 1968-2007」(マーク・ロバーティ (著)/前 むつみ (翻訳)/シンコーミュージック・刊)では「ワーナー・パイオニア・ジャパンが本ステージを8トラックで録音」とされている音源は、確実に4人の演奏と声を個別に生々しく捉えています。これはすごい。
1971年9月29日は、「レッド・ツェッペリン IV」のリリース前。
「Stairway to Heaven」「Rock and Roll」、そして今回未収録となった「Black Dog」「Going to California」を我が国の聴衆はこの時初めて耳にします。その感動と興奮の反応の生々しさと言ったら。
この時期のZEPには、デビュー当時の初期衝動の勢いと、後のスタジアム・ロック的円熟に入る間の過渡期のギラギラ感にたまらないものがあるのであります。
(もちろん、初期、中期、後期それぞれの魅力と味わいどころがあります)
いやぁ、これは、確実に歴史の1ページの記録を新たに開きました。
ZEP音源の歴史が変わったこの日に乾杯。
私は未収の7曲を既発の優良オーディエンス録音音源で補い、完全版「929」を夢想します。
いつかこの音質音源で「929」の全貌を耳に出来る日を信じています。
そして・・・。
もう少し思うところを。
今回未収の7曲の不可解と合わせ、他の1971年日本ツアー録音音源が日の目を見る可能性はあるのでしょうか。
2016年に、前日1971年9月28日大阪公演の「Black Dog」の極上サウンドボード録音音源が地下リリースされたことからも、1971年の日本公演は複数日の音源が存在していることが察せられます。
前述しましたが、今回の7曲未収が単なる出し惜しみなのか、それとも否かと考えると、どうもそれだけではないようにも思われます。
2018年はZEP結成50周年の節目の年。しかしその年も、もう後半戦です。
これまで、ペイジ師匠の思わせぶりな発言は多数あったものの、どうも真打ちのリリースとおぼしきものは公式にはないように思われます。
ホントに、このまま地下市場だけが盛り上がって、公式リリースは不発で終わるのでしょうか。
そんな中、先日このような記事がニュースになりました。
EXCLUSIVE: Led Zeppelin may be working on an online streaming service for its live recordings
ZEPが「The Led Zeppelin Experience」の名でライブ音源をストリーミング配信するサービスを計画しているというお話。
この辺りに地下市場とのリンクがあるのでしょうか。
例えば今回未収になった7曲は「The Led Zeppelin Experience」でオフィシャル配信されるから外された(外した)とか・・・。
他の日程の音源は「The Led Zeppelin Experience」で配信されるとか・・・。
数年前にスタジオ録音音源のリマスターとお蔵出しに一区切りついたわけで、次はもう一つのZEPの真骨頂であるライブ活動に焦点が合わせられるのは当然の流れでありましょう。
オフィシャルと地下市場のせめぎあい。
是非是非ガンガンやっていただきたいです。今後の展開が実に楽しみであります。