言葉の経年変化:「ぐうの音」の「ぐう」ってなんだ?
ちょっと前に、松沢呉一さんが「ビバノンライフ」で言葉の経年変化に関して全3回の文章を出していて、とても興味深く思いました。
「この間の展示会はへたばりましたよ」
喫茶店で編集者と打ち合わせをしていた時に、隣の席から聞こえてきた「疲れはてる」の意で使われる「へたばる」という言葉。
現在の松沢さんにとっては、「へばる」あるいは「ばてる」がしっくりくるといいます。
しかし、私にとって「ばてる」はわかりますが、「へばる」は初めて聞く印象でした。
私は「へたる」という言葉を使うことがここのところ多いように思います。疲れるの意だけではなく、
「このタイヤずいぶんとへたってきた」
とモノに対しても使いますよね。
さて。
そんな時期に、何かのスレッドで松沢さんとやり取りしていて、
「ぐうの音もでない」
という言葉が出てきました。
そういえば・・・・。
「ぐうの音」ってなんだ?
特に「ぐう」ってなんだ?
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いやぁ。
こういうタイミングですとどうしても気になってきてしまいます。
調べてみますと・・・。
「ぐうの音」とは
「呼吸がつまったり、物がのどにつかえたりして苦しいときに発する声を表す語。」(出典:デジタル大辞泉 [小学館])
とあります。
しかし。
そんな時に「ぐう」なんて音を出しますでしょうか。
少なくとも私には「ぐう」と発した記憶はありません。
「ぎゃふん」と言ったことのないように・・・。
サクッと検索しますと、尾崎紅葉も漱石もこの言葉を作品中に使っていることがわかりました。
「ぐう」
は出てこないまでも、
「呼吸がつまったり、物がのどにつかえたりして苦しい」
という局面においての、「むぐぐ」「うぐぐ」という表現は確かにしっくりくる気がします。
「ぐう」から派生して「むぐぐ」「うぐぐ」となっていったと。
さらにこのサイトでは、「ぐう」の現代活用として、
「ぐうかわいい」「ぐうかわ」
といった
「ぐう」=「すごく」「とても」
という強調形容詞としての活用の指摘がありました。
試しにTwitterで定点観測したら・・なるほど確かに。
いやぁ、日本語って面白い。