ペパー祭り:「A Day In The Life」のハミング
「ご馳走は温かいうちに早く食べなさい!」
と世のお母さんだったら言うのでしょうが、ビートルズ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」リリース50周年記念盤は、スルメを噛みながらお酒をちびちびやるように、じっくり味わっております。
何だかスーっと聴き流しちゃうのがもったいないんですもの。
そんなわけで、本編リミックスから少しずつアウトテイク音源を聴き始めております。過去耳にしたものも多数ありながら、「え!?」「お!?」っと引き込まれる瞬間多々。
そんな中
「A Day In The Life」 (Hummed Last Chord, Takes 8, 9, 10 and 11)
も「なんだこれは!?」とヤラれた音源のひとつ。
知ってる人は知ってた音源なのでしょうか。
あまりに有名な「A Day In The Life」のエンディング。
40名のオーケストラをスタジオに集めての24小節のカオスの高まり。
そして鳴らされるエンディング、Eの「じゃーーーーーん」のピアノ。
このあまりに印象的なピアノのエンディングが、最初は
「ふーーーーーーーーーーん」
という多数の声によるハミングにしようと試みられていたのです。
「ザ・ビートルズ・レコーディング・セッションズ完全版」(マーク。ルーイスン著/シンコー・ミュージック)の1967年2月10日の項から引きます。
この日はオーケストラのレコーディングが行われた日でもあります。
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オーケストラのレコーディングに加えて、ミュージシャンたちが家に帰ったあと、ビートルズと友人たち(少なくとも女性1名を含む)がスタジオのマイクのまわりに集まり、コーダ部分の録音を試みている。後に印象的なピアノのコードが入る箇所だが、ここでは長いハミングだ。この編集用パートの最初のテイクの前に、ポールが「いいかい、8ビートだよ」と指示している。これと、あと2つのテイク(第8〜第10テイク)は、無理もない、爆笑のうちに中断される。しかし第11テイクはまともに録れたので、彼らはさらに3回のオーバーダブを行い、4トラック・テープをいっぱいにした。たいへん気の利いたアイデアだったが、2月22日にあの有名なピアノ・コードが録音され、こちらはボツとなる。
今回の「A Day In The Life」 (Hummed Last Chord, Takes 8, 9, 10 and 11)ではポールの「いいかい、8ビートだよ」の声も、第8〜第10テイクの爆笑の声も確認することが出来ます。
このTake11へのオーバーダブされた音源も実に魅力的に感じます。
もしこれが採用されていたなら、「Abbey Road」のエンディング「Golden Slumbers」〜「Carry That Weight」〜「The End」のメドレーのあまりに美しすぎる鉄壁の流れから「Her Majesty」で落とす、またはちょっとおちゃらける、実にビートルズらしい締めになっていた可能性もあるように思いました。
と、同時にビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが「グッド・ヴァイブレーション」〜「SMiLE」期に取り組んでいた、楽曲を断片で録音して、それらを繋ぎ合わせる手法とリンクするように感じられワクワクするのであります。