ビートルズと大人の事情:消えた浅井慎平写真の謎
(雑誌の最新号の記事がテーマなので以下閲覧注意。ネタバレありです。)
「レコード・コレクターズ」連載「ビートルズ来日学」浅井慎平編で語られる「消えた『ビートルズ来日写真』の謎」。
これはちょっとびっくりの内容でした。
まさしく「レココレ砲」。
浅井氏が、来日密着時に撮った写真は、写真集「ビートルズ 東京 100時間のロマン」に掲載されたもの以外、全く残ってなくて、この本の制作時にすべての写真を預けてから戻って来てないそうで。
そんなことを「来日の時のことはあまり話したくない」「あの時の写真は見たくない」といった主旨のことを言いながら語っていて、で、色々ぼかしているんだけれど、どうやらビートルズ側に写真を全て取り上げられて、そののち、浅井氏の写真が、ビートルズのツアー同行カメラマンのロバート・ウィテカーの作品として世に出ている、ということを言っている「ように読める」んです。
(飽くまで印象ですよ)
以下、想像・妄想です。
日本テレビが撮影・製作した1966年6月30日夜の部と7月1日昼の部の2回のライブ映像は、当初全国ネット1回ずつの放映権だけが許されただけで、以降テレビでの再放送に関してもビデオやLDのソフト化もガッチガチに制約されて来たわけですよね?
(バップ版ビデオの演奏終了後のクレジット)
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テレビ放送に使われた7月1日昼の部の映像は、マネージャーのブライアン・エプスタインがマスター・テープを持ち帰ったって言いますし。
(とはいえ、放送は数日に分けて全国で行われたわけですから、テープがひとつも日本に残らなかったということはないでしょう。事実ブートでは高品質画像版が6月30日夜、7月1日昼ともに観られることが出来るのは御存知の通りです。流出元が日本国内なのか、ビートルズ側なのかはわかりません。)
「アンソロジー」の第5巻では7月1日昼から「Rock and Roll Music」「Yesterday」、6月30日から「Paperback Writer」の映像が使用されています。しかしここでは、読売新聞や日本テレビの画像提供やコピーライトなどのクレジットは確認出来ませんでした。
昨年公開の映画「Eight Days A Week」では6月30日夜から「Nowhere Man」が使用されていて、エンドロールで資料提供者として「The Yomiuri Shimbun」の文字が確認出来ます。でも、これが武道館公演映像の資料提供を指しているのかはわかりません。でもこれまでの経緯から察するに右翼やファンが加熱する報道映像の方ではないでしょうか。
(映画「Eight Days A Week」エンドロール)
で、で。
そう考えると、映像同様、写真に関してもビートルズ側から
「あの浅井ってカメラマンが日本で撮ってた写真を全部よこせ。勝手に使うなよ。」
と取り上げられちゃったというのは、決して考えられない話ではないような・・・。
もしそうだとすると。
浅井氏は、当然契約が事前に済んでいると思っていたビートルズへの同行と撮影の許可が、実は下りていなかったこと、その後の交渉の末、何とか許可が下りたという経緯を話しています。
撮影許可の条件の中に「撮影した写真はビートルズ側に提供すること」が
a.浅井氏も理解した上で織り込み済みだった
b.織り込み済みだったが、浅井氏には知らされていなかった
c.後から急に一方的に取り上げられた
のいずれかであったということではないでしょうか。
察するに答えはbかcで、bが濃厚のような気がしますがいかがでしょう。
で、浅井氏はいつそのことを知り、誰とどんな取引をしたんでしょう。
浅井氏とビートルズ側に直接のやりとりがあったとは考えずらく、間に入った人物がいるのだと思います。
普通に考ると、それは急遽浅井の撮影の許可を得ることが出来た人物じゃないのではないでしょうか。
浅井氏はすべてのストーリーやからくりを知っていて、当然「自分の作品が取り上げられてしまった」ということは、決して良い思い出ではないから、進んでは話したがらないんでしょう。
ただ、ビートルズ側に取り上げられてしまった浅井作品が、もしホントに他者の作品として世に出ているのだとしたら、いくらなんでもそれはひどい話。
「今からでも自分の作品の権利を取り戻して、ホントのことを教えて欲しい!」
と言うのは簡単なんだろうけど、相手は鉄壁のビートルズのスタッフ陣だし、そういうことがやりずらい取り決めやからくりがあるんだろうなぁ。
浅井氏が「ビートルズの音楽を聴くのが怖い」というようなことを何度か発言しているけれど、それはビートルズの才能に対する畏怖なんかじゃなくて、この来日時の撮影を巡るゴタゴタによる根が深いトラウマのせいなんじゃないかと考えてしまいます。
以下、暴言の旨承知しながら・・・。
昔から、ビートルズや来日に関する浅井氏の発言には、「薄っぺらいなぁ」という印象を持っていて、映画「Eight Days A Week」でも、氏のインタビューに結構な尺を割いているだけれど、
「どうしたらこんな音楽ができるんだ」
「ポップ音楽が媚びが必要。ビートルズには(それがなかっった)」
「(ビートルズの音楽は)歌い合ってる、響き合ってる、共感しあってる」
などと抽象的なことばっか言っているように思われて「ここ余計だなーー。」と感じていました。
しかし、これらが腹にいちもつ抱えての発言だったのかと思うとちょっと納得。
(暴言以上。スミマセン。誤解してました。)
これもしホントのこと検証されたらビートルズ史が揺れるわ。
ドキドキわくわく。
「ビートルズ来日学」浅井慎平編は次号以降もまだ続きます。
目が離せません。