新宿・不二川楼と酒井潔「日本歓楽郷案内」
昨晩夜中に目が冴えてしまったので、明治から大正の花街・芸娼・妓楼関連の法規制の経緯を整理していたら(なにしてんだ・・・いいから寝なさい!)、戸沼幸市 他著・編「新宿学」(紀伊國屋書店・2013年刊)に
「『日本歓楽郷案内』昭和6年から転載」
とされた「遊郭Fuji楼」のキャプションが付された写真にぶつかりました。

この写真のことは以前より認識してましたが、「あ!!」と、ぴーーんと来ました。
これって先日太宗寺の閻魔王像と奪衣婆像が安置されたお堂の玉垣(1933年(昭和8年)4月16日竣工)で見た「不二川楼」ですよね!

先達の検証[新宿二丁目・太宗寺閻魔堂玉垣の新宿遊廓の妓楼名]を拝見しますと、不二川楼は「不二川楼本店」「第一不二川楼」「第二不二川楼」と大いに繁盛発展した楼閣とお見受けします。
こうして写真と合わさるとすごく身近に感じられますね。
さて。
振り返ってこの写真の出典の「日本歓楽郷案内」という書物を当たりますと、国会図書館のデジタルコレクションで公開がされていました。
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酒井潔著「日本歓楽郷案内」(竹酔書房・1931年[昭和6]刊)
酒井潔!
久しぶりにこの名に接しました。
「エロエロ草紙」に「らぶ・ひるたぁ」の酒井潔先生であります。
「変態資料」の梅原北明とともに、エログロナンセンスものの出版で「大正〜昭和初期の発禁王」と記憶している澁澤龍彦や松沢呉一さんの著作などででその活動を知った人物です。
「日本歓楽郷案内」で、「遊郭Fuji楼」の画像を確認し、新宿に関して言及した、「第三章 エロの山手」の冒頭「伸び行く新宿」を。
この時代の新宿の雰囲気を詳細明解に伝える軽妙な語り口の名エッセイ。
武蔵野館で映画を見るスノッブ気取りどもにチクリと入れて、新宿2丁目のカフェでのたしなみを解説。
そんなレポートは東京から、横浜、大阪、神戸と巡って行きます。
是非、まずは国会図書館のデジタルコレクションでお楽しみ下さい。
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