ビートルズ「アビーロード」ジャケ写撮影セッション：頭上からのショット考察

少々前のポストですが、「ビートルズの「アビイ・ロード」のジャケット撮影時の非常にレアな写真いろいろ」を言う記事を見ていて、

「嗚呼、中学の時、上野の蓄光堂で横断歩道を逆に歩いてるショットがジャケのブートが、レジ後ろに飾ってあったのを見て、すごい衝撃を受けたなぁ・・。」

なんてノスタルジーを感じながら・・・・「なんだ！？」っとドキッとした１枚が。

この、横断歩道を渡る４人を頭上から捉えた写真ってものは、私は初めてみました。

これってどうやって撮ったんでしょう。

アビーロードのEMIスタジオの住所「3 Abbey Rd, London NW8 9AY」からgoogle mapのストリートビューでで現在の横断歩道を確認します。
http://bit.ly/2iqDZrp

次にgoogle Earthで空中から見てみます。
EMIスタジオの右下に横断歩道が確認出来、ちゃんと「Abbey Road crosswalk(Beatles)」とマーキングされています。
http://bit.ly/2iSM3Ci

あ、横断歩道ってちょっとスタジオから離れてたんですね。
スタジオ出てすぐにここがあるものとばかり思ってました。

（2017年４月２４日追記　：現在の横断歩道は「アビー・ロード」のジャケのものとは厳密には違うものだそうで、1970年代に、EMIスタジオの前から現在の場所に移動されたそうです。）

こうしてみると、今回の頭上からのショットは、どこか建物の上から撮影したとは考え難く、どう考えてもクレーンを使って撮影されたとしか思えないのですがどうでしょうか？

しかし、撮影されたこの横断歩道の直ぐ後ろはすぐ道路が４つに分かれる交差点。
一体どのように撮影されたんでしょう。興味津々。

そこで、マーク・ルーイスン「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版」（シンコーミュージック刊・2009年）の1969年8月8日の項を見ると・・・。

「レコーディング・セッションは午後２時半からの予定だったが、ビートルズの４人は別の目的で朝の10時にEMIスタジオに集合した。フォトグラファーのイアン・マクミランが、アビーロード（通り）の真ん中に立てた脚立に昇り、スタジオの門のすぐ外にある横断歩道をジョンとリンゴ、ポール、ジョージが渡るところを撮影したのだ。好意的な警官が、その間に親切にも車の通行を止めていてくれた。」

「ジャケットの写真撮影はほんの10分ほどで終わったが、この日のレコーディングは２時半からの予定だった。時間をつぶすため、ポールはジョンを連れてキャヴェンディッシュ・アヴェニューの自宅に戻り、ジョージはマル・エヴァンスと一緒に程近いリージェンツ・パーク内にあるロンドン動物園へ、リンゴは買い物に出掛けた。」

警察の厚意があったと言え、たった10分ほどでこのフォトセッションが終わっていたということは、事前にある程度完成の画が明確にあったということでしょう。

それを裏付ける資料も「ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ完全版」に掲載されています。

「アルバム・カバーについてのアイデアをポールがスケッチ。それをさらに具体化した案を、カメラマンのイアン・マクミランが右上に示している。８月８日の撮影ではこれがほぼ正確に実行された。」

とのキャプションが付いた手書きのスケッチメモ。
ポールが２つ書いている案の内、右は完成版に近いように思われます。一方左下に書かれたものは、アングルがかなり上から撮影することを想定しているように見えないでしょうか？

撮影当日は、水平から撮ることと並行してクレーンを使って高い位置からの撮影もあらかじめ用意されていたからこそ、短時間での撮影が可能になったのではないでしょうか？

い、いや、これは単なるフェイク写真？？
真実は如何に！？

【追記】
どうやら、結論としては、フェイク写真のようです。
Rare Behind The Scenes Photos From The Abbey Road Cover Shootに

Update: This one is actually not a real photo from the day of, it was computer generated for an advertisement.

との注釈がありました。では初出は「Free as a Bird」のプロモ辺り？？

【続・追記】
「Free as a Bird」のプロモ、「アンソロジー」の「アビーロード」の項、2009年リマスターBOXのドキュメンタリーDVDを見返ししてみましたが、該当画像は見つけられず。「Free as a Bird」が一番クサイと思ったんだけどな。横断歩道の鳥瞰画像はあれどメンバーはおらず。

うーん。悔しいです！
初出が知りたい！

【続々・追記】
【ウラ取り編】をアップいたしました。