雑感:早稲田大学大隈記念大講堂「新宿 1968―69」

早稲田大学大隈記念大講堂で開催の「新宿 1968―69 ドキュメンタリー/ハプニング/ジャズ」。
無理して行ってよかった。
破壊的なまでに面白かった。
まずは映像3本を上映。
おそらく来場者の多くの方のメインディシュだった田原総一朗が東京12チャンネル(現 テレビ東京)のディレクター時代に制作した山下洋輔を追ったドキュメンタリー「バリケードの中のジャズ」(1969年)のノーカット版。
(本編の一部)
続いて、(権利等諸々の関係で)事前告知がなかった1968年、同じく田原がディレクターの「青春ドキュメンタリー」から新宿のフーテン族を追った「新宿ラリパッパ」。
そして、最後は1968年、日本テレビで放送された「木島則夫ハプニングショー」第1回放送から一部分15分ほど。この番組は当日、新聞広告で「今夜10時半に新宿コマ劇場前で生放送番組をやる」と告知し、実際の放送時には集まった若者の大群衆にもみくちゃにされて、パニック状態で番組は進んでいく。
休憩を挟んで、これも事前に知らなかった山下洋輔のミニライブ。「バリケードの中のジャズ」で大隈記念講堂からピアノが学生運動家達に、自分たちとは対立する勢力の拠点に運ばれて山下洋輔トリオのライブが行われるわけだが、
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「大隈記念講堂のピアノを山下洋輔が、今目の前で弾いている」
のを目撃しているということがまたすごい。
(実際は当時のピアノから新しくかわってしまっているそうだが・・・)
そして、最後は、田原総一朗、山下洋輔、テレビ東京プロデューサー五箇公貴、今年から早稲田で教鞭もとっているという宮沢章夫らによるのディスカッション。
「新宿ラリパッパ」と「木島則夫ハプニングショー」が、実は裏表の関係であって、「ハプニングショー」で、街灯のようなものに昇って、群集の「今どきの理解できない若者」の象徴として何度も映される若者は、「新宿ラリパッパ」撮影中だった田原がフーテンの若者をけしかけたものだった、というテレビ東京のゲリラ魂を感じさせるエピソードも。
「ドキュメンタリーは全部ヤラセ」
と繰り返す田原は、次から次へと生々しいエピソードを語る。
初めは半分虚なんだけれど、カメラと田原が追い詰める内に、本人が変わり、環境が変化し、時に世間の反応までも変わり、それが真実になってしまう様の面白さ。
プロレス的視点で面白がっていたらガチンコになって、気がつけば真剣に引き込まれてしまっていた。そんな感覚。
「ゆきゆきて、神軍」の原一男は田原の息が掛かってたのね。
「A」や「FAKE」の森達也も田原イズムの継承者だよな。
田原総一朗の東京12チャンネル時代のドキュメンタリー、ちゃんと観なきゃ。
いやぁ、実に面白かった。