【続】ビートルズ「ヘイ・ジュード」セッション動画を追う
(前回の記事:初見!ビートルズ「ヘイ・ジュード」セッション動画を追う)
引き続きRevolver Records & Video(RevolverTV)がジョージ・マーティン追悼で出してきた「ヘイ・ジュード」のセッション動画を追いかけます。
A Tribute To George Martin 1968 in Rehearsal
1968年7月30日(火)のレコーディングセッション映像の謎に関してであります。
検索で追っても、
「1968年7月30日(火)の『Hey Jude』のレコーディングの様子が英国音楽協会制作のドキュメンタリー・フィルム「Music!」のために撮影がされた」
というマーク・ルイソン著「ビートルズレコーディングセッション」(シンコーミュージック)以上の情報になかなかたどり着けず、途方にくれたのですが、ようやくGibsonのサイトの記事「40 Years Later: The Story of The Beatles’ ‘Hey Jude’」
に、下記の記述を見つけました。
Fortuitously, filmmaker James Archibald captured some of the July 30 Abbey Road rehearsals, including six minutes of it in his documentary Experiment in Television: Music!, which aired on NBC in February, 1970.
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http://www.gibson.com/news-lifestyle/features/en-us/40-years-later-the-story.aspx
James Archibaldという撮影者名。収録時間6分。
そして「Music!」は1970年2月にアメリカの放送局NBCで放送されたとあります。
James Archibaldという名を得て検索を続けると、英国映画協会(BFI)のサイトのデータベースに彼の名と「Music!」の詳細にぶつかります。
http://www.bfi.org.uk/films-tv-people/4ce2b6cb9257b
作品の概要に関しては、
Documentary on music in Britain, sponsored by the National Music Council, it covers all types of music from opera to pop, from brass bands to folk, from old-time dancing to pub sing-songs.
英国音楽協会の提供(制作)で、1960年代後半のオペラからポップ・ミュージック、ブラスバンドなど英国の様々な音楽シーンを撮影した作品とあります。
キャスト欄には・・・
Cast
performing “Hey Jude” (circa 6 mins) The Beatles
Musical performer John Dankworth
Participant Tony Blackburn
とあり、「ヘイ・ジュード」セッションの模様が6分収録されているとあります。
ジョニー ダンクワースは、ジャズのアルトサックス奏者、クラリネット奏者。
実にかっこいい。
さらに詳しいクレジットを見ていきます。
Direction:Michael Tuchner
Production:
James Archibald Productions
National Music Council of Great Britain
James Archibald
Writing:James Archibald
Photography:Ian Wilson
Editing:Gregory Harris
Sound:Kevin Sutton
だいぶ「Music!」の全貌が見えてきました。
この辺の情報をもとに検索を続けると、アメリカはボルチモアのイーノック・プラット自由図書館に「Music!」の16mm フィルムでの所蔵があるという情報にぶつかりました。
16mm Film Collection Highlights
http://www.prattlibrary.org/locations/sightsandsounds/?id=8766
長いですが、引用します。
Music! (1968)
dir. James ArchibaldGreat Britain’s National Music Council produced this1968 film as a documentary record of their nation’s music and it was later broadcast on American television in 1970 as part of NBC-TV’s short-lived Experiment in Televsion series that was aimed at youth culture. It uses quick-cut montage techniques to survey the many and varied roles of the music maker in Britain, including opera singer, street musician, school and military band, electronic musician, jug band, folk singer. But the film is most famous for six minutes of rare footage showing The Beatles rehearsing “Hey Jude” at Abbey Road Studios. The take is preceded by an odd 24-second clip of a printer spewing out a list of Lennon/McCartney song titles. Paul McCartney is first seen scat-singing some Little Richard lyrics with John throwing in a refrain from
“Drive My Car,” before Paul announces “‘Jude’ in A minor”. Partway through the take, the scene cuts to George Harrison in the booth discussing various forms of music with George Martin. Further takes ensue, with Ringo complaining that he caught his pants in his bass drum pedal and John sarcastically suggesting that Ringo solve the problem by removing them! (James Archibald, 1968, 50 minutes, color, 16mm)
ざっくり要約しますと・・・。
「Music!」は50分の映像作品で、英国の様々な音楽シーンが撮影されており、ビートルズの「ヘイ・ジュード」セッションは6分収録されている。
冒頭24秒ほどレノン&マッカトニー作品の曲名がタイプされる映像のあと、ポールがリトル・リチャードのフレーズでスキャットし、ジョンが「ドライブ・マイ・カー」の「ぴぴ、ぴぴ。ぴぴ、ぴぴ、イェー」の合いの手を入れてのおふざけ。そして「行くぜ」とばかりに「ヘイ・ジュード」を冒頭から。ジョージは卓からジョージ・マーティンと打ち合わせと指示をしている。
お! これぞまさしく今回のRevolverTVお蔵出しの「ヘイ・ジュード」セッション動画と合致するではありませんか!
前述の本「ビートルズレコーディングセッション」にある
「このカラー作品<Music!>には、この長いセッションの間に撮影したフィルムを2分32秒にまとめたビートルズの登場シーンが含まれていた。」
と映像の尺に関しての記述が合致しないのが少し気になりますが・・・。
英国映画協会(BFI)のデータベース、イーノック・プラット自由図書館所蔵フィルムの解説から見るに、50分の映像作品「Music!」には6分のビートルズのセッション画像が収録されており、それこそが今回のRevolverTVお蔵出し映像であったと。
しかし、1970年2月にアメリカの放送局NBCで放送された際は、ビートルズ登場シーンは2分32秒にカットされて放送されたという可能性があるのではないでしょうか?
となると件のRevolverTVの6分の映像は、然るべき段取りを踏めば誰しもがたどり着ける映像であったという結論になるのでしょうか??
いやぁ、面白い。
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