対談:さぁ、ZEP祭りだ! 〜Led Zeppelin「Celebration Day」リリースに寄せて
—– いやぁ、出ました。Led Zeppelin、2007年の再編ライブ「Celebration Day」。まさに文字通りZEP祭りであります。
仇遁 —- ZEPファンの少なからぬ人たちの第一声は「ジェイソン君、大きく立派になって・・・。」に尽きるのではないか? 何だかもう親戚のおじさんみたいな気分で映像作品観た直後はウルウルして仕方がなかったぞ。
—– 確かにジェイソン・ボーナムが柱になって演奏を支えてましたね。メンバーも彼をすごく頼りにしてる感じが伝わって来て、曲のエンディングなどキメの時なんかにドラム近くにメンバーが集まって顔を見合わせるところなんかたまらないものがあります。
仇遁 —- でさ、演奏終わったあとに客席に向かって挨拶してる時なんか、明らかにジェイソンは涙ぐんでるんだよね。すごい達成感だったんだろうなぁ。で、ライナーにジェイソンが寄せた文章がまた良いんだ。「2007年にZEPでドラムを叩く」ということのプレッシャーのとてつもなさと、それをやり遂げた思い・・・もうホント親戚のおじさんみたいな気分でウルウルしてもう・・・。
—– はい、それはもういいですから。
仇遁 —- とにかく。想像以上に良かった。すごかった。「ZEPの神が降りて来てた」って言ってしまえば簡単なんだけど、このライブに向けて行われた6週間のリハーサルとメンバーの覚悟が、これまでのZEP再結成の1985年のライブエイド、1988年のアトランティック・レコード40周年記念コンサートとは全然違うんだ。だって、これZEP再結成じゃないもん。紛れもなく「Led Zeppelin」だもの。
—– はい。21世紀に於いてのZEPの有効性を示すことはいくらだって出来ます。活動期間に残されたアルバム、映像がそれを証明してくれます。しかし生で、演奏で、2007年にLed Zeppelinがそれを示すというハードルはとてつもなく高かったのではないかと想像されます。
仇遁 —- 確かこのイベントってペイジが指を骨折したとかで数週間延期になってるんだよね。正直その報道聞いた時は「やっぱ止めといた方がいいんじゃないか?」って思ったもの。「そんなウソついて、怖じ気づいたんでないの?」とまで思ったもの。ところがどっこい、幕が開けばこの演奏。まさに「21世紀のLed Zeppelin」が披露されたわけだ。なんだかんだいってもペイジにはその自信が・・・根拠のあるなしは置いといて・・・あったと思う。ジョンポジョは職人技で確実に仕事をこなす。ジェイソンは前述のプレッシャーと戦いながらZEPに立ち向かったわけで。
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—– ジェイソンはZEPの現役時代のライブ音源をかなり聴き込んでいて、リハーサルでペイジに「ここのキメは○○年のライブではこうだったけど、○○年はこうだった」などと色々細かくサジェストしていたとも報道されています。えー、で、ロバート・プラントは??
仇遁 —- そうなのよ。この悩ましき困ったちゃん。6週間のリハーサルはプラント抜きで行われることが多かったらしいけれど、さすがに今回は「ヘタなものは見せられない」という覚悟があったのだと思う。すごい緊張感が伝わって来たし、声も出てた。しかしこの人はZEPという自分のキャリアに対して変にカッコ付け過ぎなんだよ。確かに今だって現役で頑張ってる。でもZEPをやった栄光の十数年間のキャリアは消えることはないし、消す必要もない。
—– つまり、今回はロバート・プラントに「21世紀のLed Zeppelinを見せてやる」というある意味開き直りをさせることが出来たのも成功のひとつの要因であったと。
仇遁 —- うんうん。つくづく泣けるねぇ、ジェイソンの成長とプラントの開き直り。
—– さて、ライブ本編に話を移しましょう。しょっぱなは、まさかの「Good Times Bad Times」。いわずとしれた1stの1曲目であります。
仇遁 —- さすがにいきなりあの「ジャージャ!」と来られた日には、ゾクゾクっと来るねぇ。前半はPAのトラブルがあったらしくて、プラントのボーカルもやや探り探りの様子もあるんだけれど、4曲目の「In My Time of Dying」辺りでは絶好調の高まりに達するんだな。ペイジってこの曲でセミアコって使ってたっけ?
—– で、中盤の怒濤の長尺曲連打へ突入。もうこの辺りは、今自分がいつの時代の何の映像を観てるんだかさっぱりわからなくなるほどのめり込んでいました。
仇遁 —- 長尺2巨頭「No Quarter」や「Dazed And Confuzed」辺りも珠玉だったねぇ。ピリピリとした緊張感。この辺りをやり遂げたってのは「21世紀のZEPを演る!」という覚悟の表れ故なんだろうなぁ。・・・・言葉がないわ。
—– そしてアンコール前のエンディングは「Kashmir」。ここで頂点に達した感がありましたが。
仇遁 —- この曲ってプラントのお気に入りなんだよね。なんだかここもまた一段とピリっと感が違うんだな。プラントの「さぁ、オレの見せ場だ」って感じも伝わってくる。
—– 演奏後のメンバーの表情がまたいいですよね。「どうだ、やってやったわ」ってな具合で。で、その開放感の勢いのままアンコールの「Whole Lotta Love」そして「Rock And Roll」へ。この辺りは「勝手知ったるなんとやら」という感じで伸び伸びとした演奏。観る側にもあった緊張感が解き放たれるようで気持ちいいったらありません。
仇遁 —- こういう言葉使いたくないけどあの2時間はやはり奇跡だったんだよな。あと、ペイジが要所要所でニコニコしてるのがまたいいんだ。「なんかすごいことやっちゃってるぞ」ってのをリアルで感じてるんだろうなぁ。「ほら、だから言っただろ、この野郎」って感じかな。実にいい笑顔なんだな。
—– ペイジとしては、この再編を一夜だけのものにしたくはなくて、リハーサルが継続されたと伝えられます。しかしプラントが最後まで首を縦に振らず、別のボーカリストを起用することも検討されたようですが、結果、21世紀のZEPはこの日だけのものとなったと言われています。
仇遁 —- (ちっ・・・。)・・・ん、ん、い、いや、でもこれでいいんだよ。この奇跡の一夜が記録されたことで「よし」としようじゃないか。これが奇跡だったか、もっとすごいことになってたかは「神のみぞ知る」ってなことで。でもそりゃもちろん、この「21世紀のZEP」をこの目で観てみたかったさ。でもさ、でもさ、それは叶わなかったんだよ。・・・プラントさぁ、取り敢えずさ、やりゃあいいじゃねえかよ。ダメかどうかはやってみてからでもいいじゃねぇかよ・・・い、いや、でもこれでいいんだよ。で、でもさ、観たかったよ。オレが1996年に武道館で目撃したPage & Plantと今回と一体何が違ったのか、この目で確かめたかった・・・(もごもごもごもご)。
—– 仇遁さん、支離滅裂になってますが・・・。