84歳のアダチ龍光さんの演技
アダチ龍光さんの演技の映像が見れる場所として、随分前から行こう行こうと思っていた国立劇場横の伝統芸能情報館(東京都千代田区隼町4-1)。
やっと先日出掛けることが出来たので、まとめておきます。
「デジタルライブラリー」として保存されていることがわかっていたのは1980年1月6日:第13回特別企画公演 新春国立名人会への出演でありました。
この日の出演は
箏曲:「尾上の松」藤井 久仁江 15分
漫才:Wけんじ 20分
奇術:アダチ 龍光 23分
落語:「子別れ」三遊亭 圓歌 24分
壽獅子:「鏡味小仙社中」 22分
俗曲:日本橋 きみ栄 24分
落語:「うどんや」金原亭 馬生 33分
で、カラーでの映像が残されているということでした。
伝統芸能情報館でこの映像を見たいと告げると、案内されたのは国立劇場3階の視聴覚室。ここで見たい映像を告げ、貴重品と筆記用具以外をロッカーに預け、視聴覚室へ案内されました。
保存媒体はbetaビデオ。
えー、デジタル化しとかなくて大丈夫なのかいなと、不安になりました。
藤井 久仁江の箏曲とWけんじの漫才はするっと早送りし、いざ龍光さんの演技へ。
お囃子に乗って現れたのは、小太りの男。
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龍光の弟子、アダチ光一でありました。
これはめっけものです。はじめて見る光一の演技にドキドキ。
ややふてぶてしく、ぶっきらぼうに、でもどこか憎めない演技。
まずはトランプをお客さんに引かせ、誘導尋問や黒板を使った予言など様々なスタイルで次々当てて行く。テンポも悪くない。
続いて風呂敷と小さなお皿をつかった演技で、お皿が消えたり現れたりするネタを種明かしを交えて。客席の笑いもしっかり取る堂々たる演技で12分。
そしていよいよ登場、アダチ龍光!
BGMと終始無言の演技。
まずは天覧奇術でも披露したハンカチから、中くらいの布を、最後は大きな白い布を出現させそこに「寿」の文字があるという、正月らしいめでたいネタからスタート。
続いてははじめて見たネタ。
小さな中が空洞になった直方体の箱と、ヒモのついたサイコロのような正方体が登場。サイコロの1の目には穴が空いていて、小さなステッキが通るようになっている。
直方体の箱にサイコロを入れ、箱の外からステッキを通す。そして、サイコロについたひもを引っ張ると・・・あら不思議、サイコロの大脱出であります。
続いては、カードの演技。
龍光がカードを扇型に広げる。広げる度にカードの色が変幻自在に変わるのです。
これが淡々としてるんだけど実にきれい。
かと思えば龍光さん、カードを次々と客席に飛ばし始める。
これが以外にしつこくて10枚以上飛ばしまくる。
最後はひもを使ったネタをいくつか。
まずはこれでもかこれでもかと結び目を作って、それがすーっとほどける。
次に結び目も輪っかをたくさん作って、それでもすーっとほどける。
続いて輪っかを作って首に掛ける、何度か結んでもするりとほどける。
2回目は背中を客席のに向けて種明かしで笑いを取る。
次に、輪にしたひもをお客さんにハサミで切らせ、2本になったひもを結ぶ。
結び目がすーっと取れて1本のひもに。
おっと次に龍光さん、ひもをヒステリックに細かく切り始める。
で、何かと思えば細かくなったひもをぱっと放り投げて、ニヤリ。
以上で演技終了。終始無言の演技でありました。
このニヤリが実に良いんだな。
ここまで10分ちょい。おいおい、光一の方が出番長いじゃないか。
いやいや、しかし。いいもの見せていただきました。
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アダチ龍光さんのこと