あなたは自分の何処に照明をあてているのか。

第3回 『二歳児になってあげよう』

  星野 知優 氏(インナースペースオフィス(ISO)社長)

〜映像・音楽・和語を内宇宙から発信する、超次元的小説序編〜
(連載内連載小説第1回)


僕たちは、砂浜にいた。

「 喉が渇いたね。」
「 ああ、とても。」
「腹一杯の水を飲みてえ。」
「 ああ、どんなに飲んでも飲み足らないぐらいにね。」
「 ねえ君、海でも見に行こうか。」
「 ねえ君、海でも飲みに行こうか。」

僕たちは、ついさっきまで砂だった。ただの足跡だった。そんなもの!風が吹けば消えちまうさ。すぐに波や涙に流されちまう、ただのホコリであるから、忘れちまいなよ。
みんな、皆を。波をもう見んなよな。夜な夜な。
ああ、朝が来るよ。面白いね。皆で見に行こう。こけないでね。言わないでよそんなこと。目隠ししてても大丈夫。でもちゃんと手は握っててね。約束よ。死んでも生まれ変わってもわたしたちの約束よ。きっとよ。きっと結んでいててね。さあ見ててよ歩くのよ。
あいつが朝かね。そうかねそうかね。早朝に鐘が鳴り、僕の耳は拾えずに、落としちゃったのよ。たくさんのおかねを。無くしちゃったのたくさんのお値打ち品を、仲間をすでに。素手で拾い上げたときにはもう遅かったのよ。雨乞いのサンタさんが一人、日曜日に朝日が昇って帰れずにいただけ。その人だけなの。わたしがもてるのは。

雨粒のような人だ。早く太陽にでも溶けて、蒸発しちまえ。 (続く)

(98.8.9.)



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