第1夜 「プラトニック激写の夜」
 【今夜のおつまみ】
(原材料)
セガサターン 1台
『バーチャフォトスタジオ』
(アクレイムジャパン) 1枚

 

 

 


 さて、栄えある第1回目は、1996年発売のサターン用ソフトです。このソフト、コンシューマ機としては珍しいX指定となっており、いやがおうにも期待とか胸とかミラクルゾーンとか、いろんなモノが膨らんできます。残念ながらX指定という枠は現在廃止されていますが、性描写のみならず残酷表現や、ちょっとしたインモラルな日常表現(高校生の喫煙、売春など)を盛り込んだ「分かってるオトナのためのソフト」を日本国内のコンシューマ機で作るためには、このような一定の枠が絶対に必要だといえましょう。なんてエラソなこと言ってますが、結局X指定といえばエロ。それがサターンの現実でした。

 脱衣麻雀、野球拳、プレイボーイカラオケ、カジノ、パズル、アドベンチャー...。

 一番多いのは脱衣麻雀ですが、僕は麻雀ができません。女の子を脱がせるために、わざわざ蛭子能収の麻雀入門マンガまで用意しましたが、やはりダメでした。そんな社会人失格な僕をやさしく受け容れてくれたソフトが、この『バーチャフォトスタジオ』だったのです。

 プレイヤーは、有名カメラマン西園寺豪先生の下で働くアシスタント。ある日突然、カメラを任されることになってさぁ大変。上手くリードしてあげないとすぐにスネちゃう3人の女の子たちを相手に、嬉し恥ずかし撮影会の始まりはじまりぃ。ぐびッ(酒)。

 てなワケで、要は女の子のムービー(実写)を見ながら
タイミングよくボタンを押して、規定枚数以内に先生が褒めてくれるレベルの写真を一定量撮れば、次のステージに進めるというものです。ちなみに、撮った写真は後でアルバムとして保存できます。
 たまに撮影中「ゴキブリが出た、もうやってらんない」などと御機嫌を損ねる女の子たちをなだめすかしたりして、なんとか撮影を続行させなければなりません。
 もちろんステージを追うごとに女の子の着衣が薄くなっていくという塩梅ですが、...厳密に言うと違うんです。いえ、もちろんすっぽんぽんになりますよ。なるんですが、なんというか彼女たち、ほとんど初めから全裸完了なんです。

 説明しましょう。まずは3人の中から気に入った女の子を1人選びます。初めのステージは私服での撮影ですが、これはご挨拶程度ですぐに第2ステージへ。
 さあ、いよいよ本番です。ぐびッ(酒)。ステージの最初にコスチュームを選びます。素敵なおべべを着せてあげましょう。これが第3、さらに最終ステージともなればランジェリー撮影、ヌード撮影と過激になっていくわけでして、当然こいつが、ゲームとしてのモチベーションってヤツです。んもー、早くはやくぅっ!
 ではさっそくスタート。選んだ衣装もうるわしく、女の子がくるくる回ったり僕を上目使いで挑発しやがります。パシャッ、パシャッ。押しに押しますAボタン、早く行きたいステージ3。パシャッ、パシャッ......あれ、なんか様子がおかしいぞ......アッ、ゼンブヌイジャッタ!......

 そうなんです。このゲーム、いわゆる脱衣麻雀のようにステージクリア後の「ご褒美」がお目当てなんじゃありません。だって2つ目のステージやってる最中からすッ裸なんですもの。
 こうなったら、コスチュームだろうがランジェリーだろうが関係ありません。だいたい、なにが「最後のステージはヌード撮影」だよ、もう脱いでんじゃん!一生懸命がんばって、もっと先のステージが見たい!なーんて気持ちなんかになるものか。
 じゃあなんなんだよ、このゲーム!と、おむづかりのアナタ。謎は解けましたえ(『舞妓さんは名探偵!』より)。

 これはゲームじゃありません。

 「カラミ無し、ソフト路線の新人AV嬢イメージビデオ(着せ替え機能つき)」です。

 まぁちょっと聞いてくださいよ、僕が毎朝電車に揺られるのは、通勤のためというより○○学園3年C組の○○アヤちゃんを垣間見するためなんですが。はなから目的は「垣間見」にこそあり、イヤらしくも仲ようなって手ェつないだろなどという不埒な考えは毛頭ありません。見てるだけで幸せ。できればずーっと眺めていたい。
 つまるところは偶像崇拝、僕にとってのアイドルなのです。「ご褒美」なんていりませんとも。
 僕が「バーチャフォトスタジオ」にのめり込むことができたのも、こんな通勤電車のマドンナや掃き溜めのツル子さんのような、見ているだけで幸せな気持ちにしてくれる一人の女の子の存在があってこそです。

 その子の名前は杉浦あゆみ。

 齢は22、身長155cm、サイズは上から、80・58・84と、正直ソソられません。実際脱いでもむしろガッカリですし。初めに選べる3人のうち、No.1ボイナーはなんといっても中井淳子ちゃんでして、おっぱい好きの僕のこと、いつもなら迷わずこの子を選ぶんですが、今回ばかりは違います。
 ジャケットの写真を見てもパッとしないあゆみちゃん。なんで好きになっちゃったんでしょ。
 「そりゃ好みだよ」とはまぁ簡単におっしゃいますけど、例えば、いくら好きだからといって秋本麗子と鮎川まどかと一色紗絵と伊福部昭子と奥野史子と奥山佳恵と賀来千賀子と加藤あいと加藤紀子と可愛ゆうと川瀬真由美と神埼すみれと菅野美穂と木村優子と工藤夕紀と倉科亜美と五島メグと小嶺麗奈と酒井美紀と坂口望二香とさとう珠緒とシャナン・ドハーティーとシャルロット・ゲンズブールと惣流・アスカ・ラングレーと高木美保と高橋由美子と高村ゆかりとタカヤ・ノリコと太宰ゆきと橘ますみと田中美佐子と田中陽子と津島亜由子と寺尾由美と戸田信子とともさかりえと中上絵奈と中山エミリと中山忍と永作博美と新山千春と野村理沙と原日出子とビリン・ナダと広末涼子と深田恭子と冬木あずさと逸見えみりと細川直美と本田理沙と松下由樹とミスマル・ユリカと三田友穂とミハル・ラトキエと三宅しのぶと宮沢りえと桃井かおりと森尾由美と八神いぶきと山田まりやとリンダを足して61で割っても、僕好みのタイプになるとは限りません。
 こうしてみると、僕の得意技であるLove at FIrst SIghtの条件がさっぱり分からなくなりますが、分かったところでせんなかるまい。そもそも実際に付き合う訳なんてありゃしないんですから、ちょっとでもドキドキする要素があればいいんです。そして、遠い存在だからこそせめて、いとおしい笑顔をフレームで切り取っておきたいってもんじゃありませんか。

 これは、そういうソフトだったのです。少なくとも僕にとっては。別に脱がなくたていいんだ、僕はきみの可愛らしい笑顔や仕草を見ていたいだけなんだよ。そして最高の瞬間をレンズに収めたいんだ。これぞ男子の本懐、「プラトニック激写」なり!

 結局、X指定なんてどうでもよくなってる訳で、いわば柿ピーを買ってきてピーナッツだけ食べるといった趣。でも単なるバタピーじゃ駄目なんです。Myスイートピーナッツあゆみちゃんに、ちょっぴり大人の味付けX指定。むひーっ、酒が進むーっ!

 こんな具合で、ゲームそのものの出来云々はさておき、「AVを観ながら一番イイところで一時停止」とも言えるシステムが非常に魅力的であることは間違いありません。おまけに、撮った写真でアルバムを作れますので、言ってみりゃ「自由度のめちゃめちゃ低いポケモンスナップ」みたいなもんですが、いかんせん僕は、体がピカピカ光る太った黄ネズミとか、タクシーやおでん屋でクダをまく体毛がピンク色のネコなんかよりは、同じ可愛いにしても人間の女の子の方が好きというつまらぬ性分ですので、アイドルのプロモビデオや写真集もこんな形態でリリースされたらエエんじゃがのう、なんて思うのは外道かしら?
 僕はパソコンソフトの世界を知らないんで、ひょっとしたら有りそうなもんだとも思いますが、いっそのこと、深田恭子あたりを起用した「バーチャカメラ小僧」とか、加藤あい主演による駅の階段や電車内を舞台にした「バーチャ盗撮」なんてのでパンチラ撮影などやらせてもらえたら、僕大喜び。もはやおつまみでは済まないかも知れません(意味不明)。どこがプラトニックなんだか。

 ではまた。ぐびッ(酒)。

(99.5.30.)
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