アダチカツノリ遁生レコード代表、ブラン




1.The Beach Boys /The Pet Sounds Sessions(TOCP50342-5)
今年は何はさておきこの箱。何はさておきdisk1のステレオ・ミックスに座り小便、寝小便。ロックおたくでも音楽オシャレさんでも、いちどでもペット・サウンズに夢中になった人なら間違いなし。
ブライアンがこれまでこのアルバムのステレオ・ミックスのリリースを拒否してきた理由としては、彼自身の片耳の障害も挙げられるが、ブックレットによると、スピーカーのセッティングによって聴こえ方が違う ステレオ・ミックスではなく、ブライアン自身の理想の音世界を完全に伝えるがためのモノ・ミックスだったというのが真相とのこと。
嗚呼素敵、音の独善主義者。
そんなブライアンが何故今回、このアルバムのステレオ・ミックスにOKを出し、自ら指揮をとったのかはよくわからないが、まあ良いではないか。
この音の奥行き、音の広がり・・・・・・うーん白昼夢。
ブライアンの独善主義はdisk1とdisk2のSESSIONSでも堪能できる。どんなに良いテイクでも、少しでもブライアンの理想と食い違えばすぐに演奏はストップ。そして始めからもう一度。何度も何度も。
全て完成形を理解しているブライアンはコントロール・ルームから名うてのミュージシャンたちを操り、ひとつひとつ音を組み立てていく。
漱石の「夢十夜」。
優れた彫刻作品はあらかじめ木の中に埋まっている。それを知っている運慶は鑿と槌で仁王像を掘り返す。
優れた彫刻家とは優れた作品の埋まっている木を見つける能力がある人である。
ブライアンの姿がこの作品中の運慶にだぶるのは私だけであろうか。
日本盤の発売を待ちきれず、11月初旬の外盤発売とともにゲット。
ブックレットはもちろん英語。でもでも読みましたよ、辞書片手に。
だって知りたいもの、ペット・サウンズの秘密、ブライアンの秘密。
嗚呼ブライアン、君は私の英語力向上にまで貢献してくれたんだね。
ありがとう、君には負けないからね。

2.Tim Buckley/LORCA(ELECTRA 9 61339-2)
やっとキましたティム・バックリー。
とにかくこの人の声にうっとり。・・・・・欲しい、この声。
ライブ盤、スタジオ盤各種夢中、甲乙付け難し。
とりあえず気が付くと何だか身体が欲したこのアルバムを。

3.中村一義/金字塔(PHCL-5055)
「ビートルズ好きの宅録野郎」。某氏からそんな評価を聞かなかったなら、未だ耳にしていなかったかもしれません。
雑誌で「驚異の新人」云々と騒がれれば騒がれるほどこちとら冷めてくるわけで。
ビートルズというよりは初期バッドフィンガーのサウンドに分裂症的歌詞が躍るという印象。
外出時BGMとして今だヘビーローテーション。
ラスト2曲目の願いの唄は何度聴いてもこみ上げてくるものを感じる。
書きたいです、こういうの。

4.Led Zeppelin/BBC Sessions(AMCY2401-2)
ブートでは超基本的アイテム。私も何種類か持っとります。
何故に今なのかのリリース。ペイジ自らマスタリング。
ペイジ・プラントはやっぱダメだったのか。
ブートと聴き比べてみるに、さすがのオフィシャル格段上。だがしかし、演奏は同じなのに客の拍手が全く違ってたりする。差し替えたのはどっちだ!しかもブートの方が盛り上がってたりする。ブートで拍手の差し替えなんて凝ったことするか?
The Pet Sounds Boxの興奮まっただ中のリリースで、遅ればせながらの購入。
不完全ながら6回のZEPのBBC出演が、これで大体把握出来るようになった。
出演日や演奏曲目もほぼ解明。
今までの資料本やブートはまったく嘘ばっかり。大体、何でデンマークのTV出演(「Danish TV」としてブートビデオでは有名ですね)の日にイギリスでBBC音源の収録をしてんだよ。かつてブートの収録日付と資料本をつきあわせて混乱したおぼえがある。
「やっぱZEPはすごいや。こんな普通できっこないハードスケジュールだったんだ」
若き私のあの純粋なる思いを一体どうしてくれるのだ。

5.The Beach Boys/Smile(original)
浜尾六郎名義「The Beach Boys/Smile を推理する!!」執筆のため編集したMD。セッション・データをもとにオフィシャル、ブート問わずアルバム収録の可能性のある曲をぶちこんだ。全21曲。
ああでもない、こうでもない、これはこの曲の一部だ、こんなもんオフィシャルじゃ出せんだろなどと永遠に答えの無いパズルをあえて解こうとする作業に夢中になった。
ロックファンの性なり。笑わば笑え。



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